妹が何故ブラコンになったか考えてみる

 俺は、魔王城近くの街を出てその次の街に来ていた。

「よぅ、『ウォリス』」

「あれ? ダイナ、もう魔王を倒したのか!?」

 こいつは『ウォリス』、この街で酒場を経営しているが、元々は俺と同じ剣士だったが今は引退している。

「実は、魔王城近くの街まで来たんだがな、置いてけぼりにされた。」

 苦笑いしながら言った。

「そうかぁ、そう言えば魔法使いと賢者が何か相談してたなぁ。」

「そう言うのは早く言ってくれよ。」

「言ったらミファがへそ曲げるだろう。」

 それもそうか。

「でも、あいつらも馬鹿だなぁ。ミファからダイナを離したらどうなるかわからない訳じゃないだろ?」

「目先の名誉しか考えてないんだよ。頭は良いんだけど、その先を考えていない。」

「しかし、ミファはなんであんな性格になったんだ? 昔からお兄ちゃん子なのは知ってるけど。」

「まぁ、勇者の神託を受けた頃からだな。あいつは、元々虫も殺せなかったんだが、勇者に選ばれてから王国の騎士団で訓練を受けたり、魔法の訓練を受けたりして強さを身につけたんだが急激に強くなって自分が怖くなったんだ。」

 あの頃は怯えていたからなぁ。

「人類最強だもんなぁ。俺達凡人にはわからない次元だよな。」

 ウンウンと頷くウォリス。

「その頃から余計に依存というか、俺に甘えてくる様になったんだ。拠り所が欲しかったんだろう。」

「だから、お前が同行したのか。」

「周りからは反対されたがな。妹の希望だだったからな。」

 まぁ、両親もいないし兄妹でずっと暮らしていた、というのもあるんだろう。

 カランカラン

「お兄ちゃん!」

「ミファ!」

 話をしていたら妹が入ってきて、俺に抱きついてきた。

「お兄ちゃん・・・・・・、私、魔王倒したんだよ!これからはずっと二人で暮らしていけるよ!もう勇者なんて絶対やらない!」

「そ、そうか・・・・・・。とりあえず骨が折れそうだから離してくれ。」

「あっ!ご、ごめんね!」

 無事な姿を見ただけで安心した。

「おぅ、戦士『ミハエル』、ありがとな。ミファを助けてくれて。」

後ろにいた戦士『ミハエル』はちょっと顔色が悪い。

「すまん、ダイナ! お前を置いてけぼりにしてっ! 俺は入口迄は同行してもらおうと言ったんだが『ケエル』と『マリン』を止める事が出来なかった・・・・・・」

 『ケエル』というのが魔法使い、『マリン』が女の賢者、まぁこの二人が俺に対してキツい態度をしてきたんだが。

「それで二人はどうしたんだ?」

「・・・・・・瀕死の重傷だ。」

「それだけ魔王との戦いが壮絶だったのか。」

「いや、魔王は問題なく討伐したんだが・・・・・・。」

「酷いんだよ!あの二人、私を騙したんだよ!だから、お仕置きしたの!」

 お仕置き・・・・・・

 そして、ミハエルからの話を聞いて改めて妹を敵に回してはいけない、と感じた。  

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