妹が勇者だったのでパーティに強制参加させられた挙げ句追放されました。

こうじ

プロローグ

「・・・・・・なんじゃこりゃ?」


 俺『ダイナ・シュール』は、宿屋でいつも通り起きたが何か様子がおかしい。

 いつもなら仲間が起こしに来るのに今日に限っては起こしに来ない。まぁ、お陰でゆっくりと寝られたから良いけど。

 寝ぼけた頭で考えながら、下に降りたが仲間はいない。

「すいません、一緒にいた仲間がいたはずなんですけど」

「あぁ、朝早く出ていきましたよ。」

 その一言で俺は理解した。

(そっか、俺は追放されたのか・・・・・・)


 宿屋を出て俺は遠くを見た。

「あれが魔王城かぁ・・・・・・。」

 あいつら今頃死闘を演じてるんだろうなぁ・・・・・・。まぁ、正直俺は足手まといだろうと薄々感じていた。

 妹である『ミファ・シュール』が『勇者』の適性がある、と神託を受けて同じく神託を受けた戦士、魔法使い、賢者が魔王討伐の旅に出て1年になる。

 妹の『お兄ちゃんが一緒じゃないと嫌だ!』の一言で俺も一緒に旅をしていたが、流石神託を受けた妹達は旅の中、メキメキとレベルを上げていきどんどん強くなっていく。それに比べてただの剣士である俺はなかなか強くなれず、次第に邪魔者扱いされる様になった。

 陰口、嫌味は当たり前、戦闘時に俺だけ回復されず道に生えていた薬草でなんとか生き延び得た事もある。

 流石に妹が怒って『お兄ちゃんを大切にしない仲間なんていらない!魔王も倒さない!』て言われて形だけの謝罪は受けたけれども・・・・・・。

 まぁ、ここまで同行出来たから良いか。

 ただ、問題は妹だ。あいつは重度のブラコンで、1度機嫌を損ねたら大変な事になる。何せ勇者だからな。まぁ、それは自業自得という事にしとくか。

 俺は魔王城に背を向けて歩き始めた。

 町の人が魔王城を見ながら『おいおい、魔王城の一部が崩壊してるぞ』、『何か悲鳴やら怒号とかうっすら聞こえないか?』なんて言っているが聞こえないふりをする。体中から冷や汗がドッと出ているが気にしない。 

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