第7話

この名前のおかげで私がどんなに嫌な目にあっているか。


ほんと、少しは思い知ったほうがいいんだわ。


思い知ったときには、もう死んでるけどね。



俺は会社からの帰り、家の近くの裏路地を歩いていた。


すると。


――何かくるな。


「左手」


声が聞こえた。


それは脳と耳の間ぐらいで聞こえたのだ。


同時に異能の力を感じた。


それもかなり強力なやつを。


――ちょっと危なかったな。


寸でのところで俺はそれを防いだ。


もう少し遅ければ、左腕が根元から落ちていたところだ。


「なっ、なんですって!」


また聞こえた。


異能の力の主だ。


小さな女の子か。


彼女の意識が俺の脳の近くまで来ている。


それゆえ俺にも彼女のことがよくわかった。

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