第8話

――ほう、こりゃたいした異能の力だな、お嬢ちゃん。名前は、なんだってえ、プリンセスというのか。これはお父さんかお母さん、あるいは両方か。とにかくIQがべらぼうに低そうだな。で、今は六歳か。


「なっ、なんなのおじさん」


――おいおい、おじさんって。俺はまだ二十四だぞ。おにいさんと呼びなさい。


「そんなの知らないわよ。こうなったら次は首!」


また来た。


強力な異能の力。


先ほどよりも明らかに強かったが、二回目と言うこともあり、わりと余裕で防ぐことが出来た。


「なっ、なんで落ちないの?」


――なんで落ちないのかって。それは防御しているからさ。俺は子供の頃から、お嬢ちゃんみたいな異能の力を防ぐことが出来たんだ。


「……」


――それで防いだ。それにしてもお嬢ちゃんはすごいね。極めて特異で強力な物理的能力だけじゃなくて、テレパシーも使えるんだ。俺はテレパシー能力のレベルがちょっと低くてね、自分から相手の頭の中に話しかけたりは出来ないんだが、そっちから話しかけてくれればそれに乗っかることは出来る。ついでに相手の個人情報も、ほとんどわかるんだけどね。


「ふん、もうあんたなんかどうでもいいわよ」


プリンセスは逃げようとした。


しかし俺はそれを許さない。


向こうから繋げてきた糸だ。


一旦捕まえたら、この俺が逃すことはない。


「ちょっ、なにするのよ。はなしなさいよ」

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