第3話 はじめての学園生活 1
目を開けると知らない天井が見える、使い古された言葉だけど今の状況ならしっくりくよね
台所から良い匂いがするなと思い部屋から出ると椅子にマリアとルナさんが座っていた
「おはようございます雹霞殿」
「おはようヒョーカ」
何でだろうという言葉の前に「おはようございます」と返事を返してしまう
朝起きて部屋にいる体験は久しぶである
「何でいるんですか?」
僕は椅子に座る
「時無殿に、呼ばれたからです」
「そうそう、一緒に朝ごはん食べよって言われたのよ」
なるほど、そういう話なんだなら仕方ないね…とはならないよ?
「起きたか、朝食は味噌汁と昨日の残りの煮物と鮭の塩焼きとご飯だ」
なかなか豪華な朝ごはんでマリアも目を光らせていた、ルナさんは感心しながら師匠を見ている。
てか、何で師匠が僕の部屋で朝食を作っているのだろう?
「美味しそうだねヒョーカ」
「そうだね、こんな豪華な朝ごはん久しぶり…じゃあなくて師匠、何で朝ごはん作ってるんですか?」
師匠はお茶を全員の前に置いて椅子に座る
「お前、一人だと不健康な生活をしそうだからな、しばらく時間をかけて矯正するためだ。あと人に慣れないと今後が困るだろ?」
部屋にいることとあまり関係ないが僕の為を思っての事のため怒らないし、こんな豪華な朝ごはんを準備してくれるなんて嬉しいし
「師匠ありがとうございます」
「ん?ああそうか、いただきます」
師匠は当たり前の事をしているみたいな顔をしていた。
僕も手を合わせてご飯を食べる。
「この味噌汁?とても美味しいわ、この間食べた割烹のお吸い物とも違うけどなんだかほっこりする。」
「ええ、贅沢ではないですが安心する味ですね」
そりゃ日本人のソウルフードだからだろう、西洋でいうコンソメスープみたいな立ち位置のはずだ、だけどそれにしてたこの味噌汁は美味しい
「褒めていただき光栄だな、まぁ市販の味噌ではなくて知り合いの昔ながらの味噌屋で買っている味噌だからな」
成る程、工場で作っている紛い物とは違い本当の味噌なんだ、そりゃ美味しいや
僕が魚を食べていると不思議そうにマリアが見てくる
「どうして皮を取るの?」
僕は鮭の皮は食べない人間だからね
「あんまり好きじゃあないんだ」
「私も苦手ですね、ムニエルとかの皮も残してしまいますね」
ルナさんと意外な共通点を見つけたな
そう思っていると師匠は鮭の皮を軽く炙るとタッパーに入っている黒いものを刻んで熱々のご飯の上にかけてお茶をかける
「美味いな」
なんかすごく美味しそうに見えてきた…
「時継くん私にも作って!」
「仕方ないな」
そう言いながら僕達の鮭の皮も持っていき同じように出してくれる、こういう気遣いが出来る人なんだよねー
「昆布と山椒を刻んだものだ、食べやすいだろう」
「美味しいです師匠」
「美味しです」
朝食を終えると二人は出ていった
師匠は僕に何冊かノートと昨日貰った銃を入れるホルスダーをくれた
「銃は常に持っておけ、重さになれる為にな、あとノートの方は勉強用だ、分かりやすくまとめてあるはずだから、分からなかったら呼んでくれ」
師匠はそういうと部屋を出ていった。
制服に着替えるが僕には少し不釣り合いな気がする。
そう思いながらホルスダーを付けて銃を入れると結構重くびっくりする。
左右にバランスを取る為にもう片方には弾丸の入った弾倉をいれておく入れておくようだ
時計を見ると7時30分を過ぎており今日は校長室に顔を出しに行かないといけないから早めに出ないと…
ドアを開けて外に出ると色々な視線を感じた、寮にいる女子生徒が部屋から出てきた僕の事を見ているのだ
その視線が少し嫌で早足で外に出ると師匠がヘルメットをいきなり投げてくるので受け取る
「師匠?」
「今日は連れていってやる、明日からは歩けよ」
ヘルメットをかぶり師匠のバイクの後ろに座る
バイクで行くと5分かからない距離で歩いても15分くらいであろう、少し坂道を歩かないといけないけど別に気にならない
後で聞いたのだがバイク通学が許されているの師匠だけらしく仕事でよく使うから側にないと困るらしい
「師匠ありがとうございます」
「そうか、いいかこれから嫌な視線で見られるだろうが落ち込むなよ、お前は俺の弟子だ、胸を張れ」
そういうと僕の頭をくしゃりと撫でてどこへと向かっていった
僕は校内を歩く、途中色々とひそひそ言われているのが聞こえる、多分髪の色の事を言っているのだろう
校長室にノックして入ると校長が仕事をしていた、朝早くから大変だな
「きたね、君の待遇は時無くんの部下だよ、マリア姫と同じクラスに配属するように言われたから。」
マリアと同じクラスなら僕も少しは大丈夫かな?
知り合いがいるだけで全然気分がちがうから
「髪の方は地毛だと聞いているから担任の方にも言わないようにしているけど、目立つから、変な目で見られるだろうけど…まぁ頑張りなさい」
「はい、ありがとうございます校長」
「いえいえ」
直接教科書とICカードを貰う
校長室を出て次は職員室へと向かう、担任と思われる男性の先生は業務的な事をすませると僕を連れてクラスへと向かうと
「君のようなただの子供をかの英雄が部下にするとはな」
そんな皮肉も言われてしまう、まぁ髪が蒼いのと瞳が蒼いのを除けば僕なんて本当にただの子供だからね
初等部から大学まである巨大な学園の中央らへんにあるのが高等部であり僕の教室は3階の左側、1-Aである。
Aクラスは優秀な金持ち、いわゆる貴族と呼ばれる人達の集まりでBは成金かまあり優秀ではない家族、Cは技術系の天才の一般人、Dはスカウト組らしい
魔窟に一般ピーポを投げ込んで何が楽しいだろうか?
予鈴がなり先生が教室に入ると教室は静かになる
「今日は転校生を紹介する、貴族ではないがとある理由からこのクラスの配属になった」
まぁマリアの護衛という理由だけどね、僕が教室に入るとざわめき始める
「あれ染めてるのよ、カラコンよきっと」
「不良なのかしら?」
「かも知れませんね」
そんな声が聞こえる、まぁそう思うよね
「彼の髪は地毛で瞳も地の物だ、自己紹介を」
先生に促されて前に立つ、僕はこういうのは苦手…いやトラウマになっている、小学生、中学生、孤児院の時に、気分が悪いのを抑えて声を発する
「氷月雹霞です、よろしくお願いします」
そう言い頭を下げる、クラス中クスクスと笑い声が聞こえる、多分片側、一般ピーポの常識はあまり通用しないのだろう
「お前の席はあそこだ」
マリアの隣の席で少しホッとする、知っている人が近くにいるだけでこんなに安心出来るなんて…
ポケットの外からお守りを握り席に向かい歩いて行く
「にゃ!」
変な声が出たのは足を引っ掛けられてこけそうになったからである
「危ない!」
受け止めてくれたのはマリアだった、柔らかいクッションまであるなんてどんだけ、いたせりつくせり何だろう。
だけどこのクッションいい匂いがするなと思っていると上にマリアの顔が見え…
うん、理解した僕は座っているマリアの胸に突っ込んだんだ、僕が離れようとするとマリアは後頭部に手を回してロックされる
「ヒョーカの蒼い髪とっても綺麗、ずっと撫でてたい」
そう言いながら撫で始めるので僕は無理やり逃げる
「マリア受け止めてくれてありがとう、だけど恥ずかしいからやめて」
僕がそう言うと口を尖らせる
「だってヒョーカが大胆な事をしてきたんだから私だってやりたい事をするわよ」
どう言う理屈だと、思っていると周りがざわついているのに気がつく
「マリアさんを呼び捨て?」
「どう言う関係なの?」
そんな声で周りがざわめき始める、先生も固まったまま動かない
「ふふ、ヒョーカよろしくね」
周りを気にしていないマリアは笑顔でそう言ってくる
「うんよろしくねマリア」
僕はマリアの横の席に座る。
ホームルームが終わりしばらくすると朝の5分間の休憩の時間に入る
「マリア、紹介してもらっていいかしら?」
少し髪が茶色がかったものすごい美人の生徒がマリアに話しかける
「そうだね、この子は夕美、
クラス中が聞き耳を立てていたようでざわざわする
「まぁ師匠の代理だけど…」
「師匠?」
朝月さんが反応する
「ふふ、そうなのよ、あの時継くんの弟子なのよ」
更に教室がざわめいていく、確かに師匠は英雄だけどここまでざわめく程ではないだろう
「凄いわね氷月くん、私のことは夕美でいいわ」
手を差し出してくるので握手する
「僕は雹霞で良いですよ夕美さん」
「そう、雹霞くんよろしくね」
僕たちの姿を見てマリアはウンウンと頷いている
「マリアはなんで夕美さん仲良くなったんだ?」
「小さい頃の幼馴染なの、もう一人いるけど彼女はD組だから後で紹介するわね」
そう言えば昔ゆーちゃんがいたな、あとえーと、みーちゃんとるーちゃんとまーちゃん、懐かしいな、僕のあお色の大切な過去だ
チャイムが鳴り席に座る、やはり世界最高峰の学校と言うだけあり勉強はかなり難しいが師匠に渡されたノートに漫画形式で飽きさせないように解説があり分かり易かった。
師匠教師に向いているのでは?そう思う程である。
やっと全ての授業が終わり昼休憩に入る、昼からは各分野に分かれるらしく、芸術、学問、技術、スポーツと…二年生からはクラブのように自由授業になるらしいけどね。
「おーい、ゆーちゃん、マリアちゃんお昼食べよー」
暗い赤のロングに暗い赤い瞳の170位の大きな女性が教室に入ってくる。
「
「んん?」
朝言っていた子か、うん背が高い
「この子は
「桜華舞奈です、ルナちゃんも合わせて幼馴染でーす」
なるほど、幼馴染四人組なんだ…僕が話す事はないだろう…
「蒼い髪…」
僕が一瞬暗い顔をしたのを気が付いたのかすぐに話題を変えた
「お昼どうする?」
「食堂に行きましょう、ヒョーカも」
僕が断ろうとすると教室のドアが大きな音を立てて開く
「ヒョー、飯いくぞ」
師匠がタイミングよく助け舟を出してくれる、実は影から見てたんじゃあない?
「はい師匠、ごめんなさい三人とも」
師匠のもとに走って行く
「悪いね、ヒョーを借りて行くよ」
師匠は颯爽と歩く早くて追いつくのが大変だ、上に向かって歩いて行くところから屋上だろう
「師匠…ありがとうございます」
「…覚悟が無いなら変な返事をするなよ、後々困るぞ?」
師匠は経験したような感じだね…
屋上に着き師匠は僕に弁当を渡してくる
「明日からは助けん、どうにかしろよ」
うーん、明日から言い訳を考えないとまずいよね?
「師匠、昼間はどうされてますか?」
「飯を食ったら仕事の片付け、修行だ」
ふむ、師匠は忙しいらしい…僕とは大違いだな
「お前は昼からどれを選ぶ?」
「…僕は」
決めていない、どうしよう…
「決めていないようだな、見学して決めろよ、人生の大きな分岐点だからなお前にとって」
そうだよね、この天ヶ峰卒業というだけでどこの企業にでも入れると言われるほどの上位学園であり、また令嬢、ぼっちゃんたちのお見合い場所としても機能している。
「明日は学業の方に行ってみます、師匠のノート見やすかったですし!」
「そうか、それはよかった。頑張れよ」
師匠は僕の頭をくしゃりと撫でる。
嬉しい、師匠に撫でられるのは気持ち良くて好きなのだ
「はい!いつか師匠のように立派になります。」
師匠は優しく笑うだけだった。
僕のために否定も肯定もしないのだろう
そんな優しい昼時を過ごした
********************
〜時継side〜
ヒョーとの昼食を終えて一人校長室に入る
「時無か、コーヒー作って」
部屋に入る早々パシリを命じられるが部屋を借りているので文句は言わないし感謝はしている。
インスタントコーヒーを机の上に置いて俺は来賓客用の席に座り持っていたパソコンを使用する
「何作ってる?」
「寮の警備計画、俺の後任用にな、最終的にはヒョーに任せるつもりだから簡単に作り直しておきたい」
寮の周りなどはあちらのガーディアンがやってくれるが中の、マリアちゃんの近くは俺とヒョー、ルナくんしかいない
ルナくんだけで大丈夫なのだが仕事上俺らも何もしないわけにはいかない。
仲は良いが女をそこまで好まない俺としてはヒョーが後任にするのは都合の良い事だ、彼には後々話す事になるだろう。
「時無はお兄ちゃん気質だな、いや、どちらかと言えばお父さんかな?」
「何を言ているんだ校長?」
ああ、俺は確かに親代わりの蒼天さんがいるがある程度自立してから拾われているからあまり感じないし、年下とか居なかったからな
「世話焼きだけど自立を促すところがどう見ても父親か兄貴だろ?」
女くせに男前に笑う校長を見て少し苦笑する
まぁ感覚としては弟を持ったような気分なんだろうなと思いながら
再びパソコンに集中した。
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