5話 魔装に棲まうモノ

「貴様が6人目なら手加減はせん!」

槍を構え、こちらを睨みつける

対する私は内心焦った

(そういえば本でどうやって戦えばいいの?)

私の魔装ヴァナルティアは本の形をしている

斧を取りだそうとしても、そんな隙はなさそうだし……


そんなことを考えていると、槍が振るわれる

なんとか避けると

『マスター…答え…ます……』

本から声が聞こえる

『受け……止め……』

(受け止めればいいの!?)

再度、向かってきた槍を

ヴァナルティアの背表紙を向ける

目に見えない障壁が槍の穂先を受け止めた

『ブレイク』

突然、接触点が爆発を引き起こす

お互いに距離が離れる

「守りに特化した魔装か?……ならば、我が全力だ」

槍を体の前に構えると

彼の周囲に赤い雷が発生し始める

「赤雷を纏いて裁きし、我が魔装に棲まうモノ」

その声に合わせて雷が穂先に集まる

怒り纏いし死電の魔神アルナシオンよ、そのチカラを示せッ!!」

彼は槍を突く

その穂先から紅き閃光が奔る


あれは人の身では防げない、そう理解した

あれは避けたとしても追ってくる、そう理解……あれ?

なんでそんなことが解るの……?

『マスター私のコトバを唱えてください』

いつの間にかはっきり聞こえるようになった声

それに従い唱える

『「書庫にて睡りし、我が魔装に棲まうモノ」』

目の前のヴァナルティアのページが激しくめくられる

『「智識をもちし、既録の夢魔ヴァナルティア」』



その瞬間、閃光に包まれた

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