第7話 以上、父の冒険の心得より

たき火のはぜる音が響く平原で

ティアちゃんと、起きてきたフェルの3人で

見張りをしている

もっとも、ウィルさんとエリスさんの2人で作った簡易結界のお陰で魔物がよってくる様子もない

せっかくなのでストレージから林檎を三つ取りだして2つを火に近づける

「はい、フェル」

「ありがとー、おねーちゃん」

もう一つはそのままフェルに渡す

感謝のことばを言えたので頭を撫でてあげる

そうして時間が流れていると

「あ、やっと見つけた!」

空から少女が落ちてきた


背中にコウモリのような羽を生やし

空からふわりふわりと降りてくる彼女

「もう、ずいぶん探したんだから!」

幼い(フェルより少し年上くらい)見た目の彼女は、

「みてみてエル、私 魔王候補に選ばれたんだよ!」

私より年下の叔母のネヴァだ

そして、彼女が見せてくる左肩には

私の右手にある聖印と同じものがあった

ティアちゃんは、それを見て少し警戒を強めたみたい

「そういえばネヴァ、今の魔王って誰なの?」

「え、いないよ?だから候補生がいるんだから」

ちょっと待って

魔王討伐の旅なんだよね

けど、魔王はまだ未定ってことは……


(他国の圧力に負けたな、王様)

「多分、魔物討伐に対する人員を減らしたのが原因だと思う」

小声でティアちゃんがそう答えた


つまり私たちは

魔物討伐、頑張ってますよ!

という、王様の他国アピールだったのだ



とんでもなくしょうもない旅になってきた





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