第8話
翌日、僕は普通に登校した。
学校の先生には驚かれたが、単位さえとれば卒業も問題ないとのことだった。
クラスに戻ると、花がおいてあった。
菊の花。
「おい、不登校野郎が帰ってきたぞ」
「自殺したのに賭けてたのにな」
罵声が聞こえる。過去、おびえてしかたがなかった連中の声。
だが、何も感じない。僕は、強くなったのだ。
「おい、無視すんじゃねぇよ、このカス」
一人が僕の肩をつかむ。振り向きざまに裏拳を顔面に、昏倒したところに腹部に掌底をくらわした。
「な、なにすんだよ」
「殴っただけだよ。ほら、昔、さんざん僕にやったじゃないか」
僕が一歩近づくと、彼は一歩さがる。その繰り返しで、壁際に追い詰める。
「どうしたの? もしかして痛かった?」
「てめぇ――」
殴られた。しかし、痛みはさしてない。
「なっ」
「ほら、お返し」
「ぐべぃ」
汚い嗚咽がもれる。そして、彼は悲鳴とともに教室から走り去った。なるほど、かつての僕もこうすればよかったのか。
「ほら、次」
はやし立てた連中も後を追うように逃げ出した。
僕の世界は、こうして変わった。
なるほど、これがチートスキルを手に入れた側の世界か。
実に――空しい。
そして、つまらない。彼らは、僕をいじめて何が楽しかったのだろうか。まるで理解できない。
僕は花を最初に殴った彼の机の上に置き、授業を受けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます