第3話

「おはよう、いい朝だね。とりあえず朝だからシャワー浴びてさっぱりしなさい」

起きると今泉さんがいた。元気いっぱいである。既に朝食の準備がされていて、彼はコーヒー片手にスマホをいじっていた。

「よく眠れたみたいだね。僕はソシャゲのイベント周回しているから、ちゃっちゃと浴びてきなさい」

 意外に普通の趣味だった。なぜか距離を近く感じた。

 朝食はパンと味噌汁そして鯖の味噌煮。パンはバケットでオリーブオイルがかかっていた。

「オリーブオイルはいいぞ。最強のオイルだからな。酸化しにくいし、健康にいいし、何よりうまい。もこみちがなんにでもかける気持ちが分かるよ」

 今泉さんはよくしゃべる。僕が相槌をうたなくても、会話が進みそうだ。

「それで、朝から悪いんだが、君の転生計画書を作ったから、食べながら目を通してくれ」

 彼はレポート用紙数枚を手渡す。内容は下記の通り。


① ダイエット

② 勉強

③ 運動能力向上

 

「これは……」

「昨日の話の続きだよ。君の転生計画さ。成功するかどうかわからないけど、一度捨てた命、ギャンブルしてみない?」

「これから、君以外の子の面倒を見に行く。あと、二人いてね。手がかかるがそれだけ、価値がある。君もそうだけど」

 今泉さんは続ける。

「とりあえず、今日はこの書類の理解と、記されている運動カリキュラムを実施してくれ。特にトレーナーも必要ない、簡単な作業だ」

 ぺらぺらとめくると、様々な運動メニューが書かれている。腹筋200回×5、腕立て200回×5、スクワット1000回×5.なかなかハードそうなトレーニングである。

「こんなにやるんですか?」

「一度死んでるから大丈夫だって。それに、こんだけやっても死ぬことはないさ。人間は疲労では簡単に死なない」

「けど……」

「やりたくない? どうして」

 それはしんどいからである。

「君には時間はくさるほどある。騙されたと思って、とりあえずやってみてよ。損はしないよ。君のぜい肉は消費されるけど、何か問題でも?」

 じゃあ、私は行くからと今泉さんは出ていった。

 言いくるめられた感じである。

 とりあえず僕は朝食を済ませ、一息つくことにした。

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