第35話 オタクの抱負

2022年も新年としてはや数日が経った。

我が家はいつも通りのお正月を過ごし、

いつもの平常時間を取り戻して・・・はいなかった。

「うーむ、抱負抱負・・・ホーフ・・・」

まるで壊れたテープを再生するCDプレーヤもしくは

ラジカセの如く繰り返すボクの姿はヨメ曰く「どこかヤバい」

と言うべき、そんな様子だったようだ。

(動画撮っとけばよかったとその後聞いたがやめてください)

「今年の抱負、まだ決まらない?」

息抜きも兼ねたコーヒーを持ってきたヨメが

煮詰まっているボクを見かねてそう声を掛けてきた。

いつの間にか机に突っ伏していたボクは

「ううぅぅぅ・・・」とうめき声で答える。

「ちなみに私の抱負はもう決まってます」

「何?参考程度に聞きたいんだけども

「“おっぱい大きい虎の娘とメカ絵を描いていく!”(ドドン!!と擬音)」

むふぅとドヤ顔と同時に大きい胸を張るヨメに

いいな~と言いながら身体を左右に揺さぶる自分。

ふとボクはピタッと動きを止めてヨメの抱負に質問を投げてみた。

「そういえばメカを描くって。背景とかの?」

「ううん。どっちかというとロボットとかメカ娘とかそっち系だね」

「なるほど」

どこか納得した様子のボクはふと頭に思い浮かぶものがあった。

「そうだ。ボクも絵も描いていきたいな」

「え?」

ボクの意外な答えにヨメが鳩が豆鉄砲を食ったような表情で

こちらを見るのでボクはその説明をする。

「いや、やっぱ小説のキャラデザの際にある程度、キャラの初期というか

こういう感じでお願いする時に口頭だとわかりづらいことも多いと思ってさ」

「確かに、そうだね。ある程度のイメージイラストがあればこっちと

打ち合わせの時により精錬しやすくはなるかもだね」

理由を聞いた途端、納得したようにうんうんと頷くヨメ。

昔は少し手探りみたいな感じで手に出したものの、

紆余曲折を経て今再び描こうとしているのはやはり自分が創作の道へと

進んだことも大きいのかもしれないと自分で述懐する。

ボクの決意に納得した様子を見せたヨメはうんうん、と頷きながら

「よし、それじゃ絵を描く先達としてレクチャーしましょう!」

「そんなオーバーにとらなくても・・・」

「いーえ、せっかくダンナがそういう決意をしたのなら思い立ったが吉日よ!」

「ハハ…なんかボクよりもヒートしちゃってるなぁ」

当人よりもやる気満々なヨメに笑みを見せながらボクは

レクチャーを受けることになった。

今年もまた楽しい1年になっていけるかもしれないとも同時に思ったのであった。

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