第32話 オタクの読書

夏も過ぎ去り、秋の季節がやってきた。

実り多き秋というだけに様々な秋を満喫することもできる。

そしてその中でボクが選択したのは・・・

「よし、一冊読了っと」

そう、読書の秋だ。

小説家、というよりも物書きの嗜みみたいな感じで

日々色んな書物などを読んだりしているが

やはりこの時期だといつもよりもペースは早い感じを受ける。

この気持ちと感じをどう現すかによってボクの小説書きとしてのry

「あ、終わった?コーヒー淹れたけども飲む?」

ある意味、最高のタイミングでヨメがコーヒータイムを促してくれた。

「――――うん、飲みたいからお願いします」


リビングで一息付いているとヨメがふと質問を投げてきた。

「そういえばさっき読んでたのなに?小説?ラノベ?」

「ああ、小説。今年完結してこの前発売されたヤツだよ」

コーヒーを飲み干してボクはヨメの質問に答える。

子供の頃、放送していたロボットアニメの完結篇とも言うべき作品が

今年の春頃に堂々と大団円を迎え、その最終巻もこの秋に

発売となったのだ。

ボク個人としても子供の時分に視聴していた作品の完結は

色々と感じるものも多くある。

「この歳で好きだった作品の本当の完結を見届けるとか人生って

ホントなにが起きるかわからないね」

「だね。私も何か読もうかな?」

「キミも読書の秋?」

「というか資料とかイメージ的補足って感じ?ちょっと新しいイラストの

デザインとかで苦戦してて・・・」

なるほど、とボクは納得の頷きをする。

自分もネタ出しや新しいイメージなどの為にゲームや資料集やネット小説なども

読んだりすらだけにヨメの気持ちも非常にわかる。

「やっぱ秋になるとそこら辺も活性化するのかもね」

「色々な秋の風情があるからね…まあ、食欲の秋が一番来ちゃうんだよね」

どこか悟ったような表情に哀愁を感じさせたヨメにボクは苦笑いを浮かべるしかなかった。

小説だけでなく、様々な情報を取得するのは創作意欲も高める

スパイスみたいなものだと思うのは多分物書きとしてのサガなのかもしれない。

だがだけども・・・

「それもまた一つの醍醐味、かな」

小声でそう言ったのが聞こえたのかヨメは疑問符を浮かべながらこちらを見ていた。

「どうしたの?」

「いや、なんでもないよ・・・コーヒーのお代わりくれる?」

オーケーと言って自分とボクのカップを取ってヨメはキッチンへと足を運ぶ。

ふとボクは窓の方に視線を向けた。

夏の暑さも完全にナリを潜め、秋の色合いから冬の寒々しさを感じ始めていた空。

今年もあと少し・・・

そんな哀愁を感じさせながらヨメの淹れてきた新しいコーヒーを

楽しみながらボクらは読書の歓談を楽しんでいくのであった。

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