第24話 オタクの原付
「~♪」
6月も過ぎ、7月になったある日の朝。
ボクは庭で自分の愛車であるシルバーの原付の洗浄を鼻歌まじりで行っていた。
購入してから数年経つがなんだかんだと大事に乗り続けていることもあってか
そこまで痛みを感じさせない外見は我ながら誇らしく思っていたりしていた。
「おはよ~…」
欠伸を抑えながら窓を開けた網戸越しに愛猫を抱きかかえたヨメが姿を現した。
また寝起きなのかパジャマ姿でもあった。
「おはよ。まだ眠そうだね」
「久しぶりに朝から起きたからちょっとまだ眠気がね…今日は原付の洗浄?」
「うん、だいぶ汚れてきたから偶にはしてあげないとね。あとこの前買ったシートバックとかの調整もしたいし」
シートバックとはシートの後ろにある荷台に付けるバイクケースとはまた別のバイクパーツのこと。
取り外すと普通にショルダーバッグとして持ち運べるという便利な物でボクはだいぶウキウキで買った時は嬉しかった。
そんなウキウキなボクの様子をネコと共に呆れた表情を浮かべるヨメ。
「ホント、原付に関して思い入れあるね」
「いやー今まで自転車オンリーだったのもあってか自由に移動できる範囲が増えたと考えるとつい、ね♪」
「うわーうっざー…」
棒読みでバッサリされた…(泣)
まあそれはともかくとしてボディの汚れを落とした後は玄関へと戻っていく。
玄関に戻った後はネコを抱えたパジャマ姿のままのヨメが迎える。
リビングに戻った後はヨメと一緒に朝食を取りながら原付の話をし出す。
「そういえばツーリングというか遠出はしないの?」
「遠出ねぇ~…」
焼きウインナーをポリポリしながらボクは一考した。
このご時世なのもそうだが自分の原付はそこまで遠出できるほどの仕様でもないからかバイクとかの様に
遠出したいという気持ちはあっても中々踏み切れないといった感じでもある。
でもいつか日本一周的な感じの旅行をやってみたいのもあった
「今は難しいけどもいつかやってみたいね」
「その時は一緒にいい?」
「そりゃあもちろん」
ニッと笑顔で応えたボクにヨメは嬉しそうな表情を浮かべてボクに寄り添う。
愛猫はそんなボクらの様子を見て欠伸しながらベッドの方へと歩いていった。
8月も近づく様子を感じながらボクは原付を日々乗り回していく。
いつか新しい原付に乗り換えるけどもそれでもボクは原付の乗り心地を忘れないだろう
そしてヨメと一緒に様々な情景を見る旅に出れることを思い浮かべながら
ボクは食事を終え、仕事へと戻っていく。
夢はいつみてもいいものだ
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