第21話オタクのシゲキ



暦は春、卒業による終わりと入学という始まりの季節。

多くの学生は過去の想い出を振り返りながら

新しい生活という刺激に向けて羽根を伸ばす者もいるだろう。

そんな入れ替わりの季節の中、ボクは相も変わらず小説の執筆を…

「ああ、やっぱかわええのう~♪」

執筆をしていないかった。

新しい小説のネタが中々纏まらず、行き詰ってたボクは気分転換も兼ねて

ネコとじゃれついて遊んでいた。

特に語ってはいなかったのだが我が家にはネコ(♀)がいるのだ。

我が家のネコは元々野良の赤ちゃんだったのを偶然見つけて保護したのがきっかけ。

ボクもヨメもお互いに異存なくこの子を迎え入れるのは自然という形である。

それ以来、彼女は我が家のマスコット兼アイドルとなるのはそう時間は掛からなかった。

ヨメもボクも仕事の合間に世話をしながらも彼女の姿にささくれた心を癒されていった。

そして現在、彼女はスクスクと元気に成長し、じゃれつくボクに抵抗の姿勢を見せている。

「ほらほら嫌がってるよ」

ヨメの注意を受けてボクはごめんよ~と声を上げてネコを離す。

離れたネコは少しボクから距離を離した後、ごろんと寝転び、それを見たボクとヨメは表情を緩ませるのであった。


「ネコ飼って正解だったね」

「そうね。やっぱ家族が増えるみたいな感じで雰囲気も変わってくるよね」

そう言いながらヨメは手に持った猫じゃらしを使って今度は彼女と遊び始めた。

猫じゃらしの反応を見ながらボクは背伸びする。

「それじゃ作業を再開しようかな」

「もちょっと遊んでもいいんじゃないの?」

「うーん、そうしたいけどやっぱ今はたくさん仕事やりたいと思ってさ」

ここ最近、世間的にも色々と暗い話題が多いのもあってかボク的にも色々と思案していのだが

やっぱり今一番大事なのはシゲキなんだと結論したのだ。

色々と小説の話を色々と書いて出版社や投稿サイト用に書いていたのだが他にネタがないかと

思考が煮詰まっていたので彼女とじゃれてネタ出しを行っていたのだ。

「それでネタは出た?」

「うん、短編的な形になるかわからないけどもネコとのじゃれ合いを書こうと思う」

ほほう、とボクの発言にヨメも触発されたような反応を示す。

「なんかインスピレーションに触れた?」

「そうね~刺激はされた、かな?」

ボクの問いにそう答えたヨメはネコとのじゃれ合いを切り上げて作業室へと向かう。

どうやら彼女も何か思いついたようだ。

ボクはネコの頭を撫でた後、もう一度背伸びをして自身の作業部屋に足を運ぶ。

刺激は大事。色々と鬱憤が溜まっている時こそ猶更だと

その後、ネコからご飯の催促の声が鳴り響くまで二人とも作業に没頭するのだった

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