第20話オタクの酒盛り
2020年も2月に突入した今日日、夜は冬としての寒さの本領発揮といった感じで心身を
凍えさせようとする気概で温度が下がっていくのは流石冬、暖冬だろうが関係ない。
暖房で身体の寒さは問題ないが問題は心の余裕であった。
相変わらずの執筆作業を進めているボクだが近日の忙しさもあってか心の余裕は
だいぶ擦り減っていた・・・
だがそんなささくれた心で仕事もようやくひと段落付けそうな所まで来ていた。
そして
「・・・ッ!終わったぁ~~~(;´Д`)」
データを保存し、メールに添付して送信を行うと椅子に身を任せてもたれかかる。
正月休みも明けてしばらくしてからの仕事の依頼が一斉にきたこともあってか1月の中盤頃から
ほとんど仕事場で缶詰に近い形で修羅場同然となっていた。
時折、現実解脱して心の癒しをしてたりしてたがそれは誤差だ(ヨメにゲームでズタボロにされたりされたが)
ふと時計を見ると既に夜中といってもいえる時間帯を指していた。
「もうこんな時間か。追い込みだったから仕方ないか」
すると空腹が思い出す様な感じでその存在感を示すのであった。
「そういえばまだ晩御飯まだだったな」
とはいえ、時間帯的に晩御飯と言うよりも夜食と言うべき感じなのもあったが
そう思うと同時にドアをノックする音と共にヨメがドアを開けてその顔を見せた。
「仕事終わった?お疲れ様~」
「うん、ようやく終わったとこ。というかどしたの?」
「晩御飯食べてないと思ってたから呼びに来たの。終わったのなら一緒に食べよ」
「え、もしかして待ってくれてたの?」
おいでおいでと言いながら手招きするヨメについていくようにボクも部屋を後にする。
リビングの食卓を見ると夜食と思しき料理が幾つか並べられていた。
そのレパートリーはそこそこ豊富で焼き鳥や空揚げ、スーパーのお惣菜と選り取り見取りといった感じだ。
「冷凍やお惣菜と間に合わせばかりだけどね。でも食べたい感じだったでしょ?」
うん、とボクが頷くとヨメは嬉しそうにこちらにアルコールの入った缶を両手にそれぞれ1個ずつ持ちながらやってきた。
「お酒も飲む?そんなに飲めないって言ってたから別にコーラにするけど」
「いや、今日は飲みたいかな?夜食の種類的にもお酒の方がいいと思うし」
りょーかい♪と言ってボクに缶を手渡す。
冷えた缶の蓋を開け、そのまま一気に口を通して喉を潤す。
キンキンに冷えたアルコールが疲れた身体を活性化させるように刺激して疲れを吹っ飛ばす感じだ。
「んー♪仕事終わりの一杯はやっぱ違うよねー!!」
「そっちも仕事してたの?」
「うん、でも大丈夫。もう終わったから」
笑顔を見せながら発泡酒を口に入れるヨメを見ながらボクはお皿の摘みを食べながら
(自分のことに手一杯で彼女も苦労しているのに…我がことながら彼女に頼り過ぎだな)
「こーら!せっかくの一仕事終えた酒盛りでそんな表情してたらお酒もお摘みも美味しく無くなるぞー?」
など思っていたらヨメがデコピンでボクの額を小突く。
確かにしかもボクに合わせてせっかく用意してくれたのに肝心のボクがしょげてては彼女にも申し訳ない。
そうだね、とボクが答えると彼女はいつも以上に上機嫌で
「おーし、こんにゃはとことん飲むにゃよー!!最後までついてきにゃ~」
「・・・大丈夫?流石に飲み過ぎじゃないか?」
「だいじょうぶー!!これでもお酒は強いのにゃー…」
とてもそうは見えない。というかいつの間にかかなりの量の缶が彼女の周りにあることに気づいたが時すでに遅し
完全に出来上がった彼女に終始振り回されていくボクであった。
でもやっぱ二人で飲む夜というのは悪くはないとも思った。
「飲めー!あしゃしのさけをのみゃー!!!!?」
・・・明日が大変そうだ
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