第19話 オタクのコタツ

正月も過ぎて1月もそこそこ経ったある日。

ヨメからふとこんなことを聞かれた。

「ねえ、コタツってまだ実家にあるの?」

執筆に煮詰まり、コーヒー飲んでネタだしを行っていたボクに

ヨメはそう質問してきたのでボクはこう答えた。

「うん、多分まだあると思ったけどもどうしたの急に?」

「実はコタツに入ったキャラクターのイラストを依頼されたんだけど構図は思い浮かばなくて…」

なんでも季節感に合わせた感じのイラストを描くという依頼でそのお題の一つにコタツがあったそうな。

冬場としては鍋とかもあるけどもコタツで一緒に食べている場合もあるからというある意味では安直?な発想でヨメはコタツに決めたそうだ。

だがそれ故にコタツでどんな様子を描けばいいのかと思い浮かばなくて悩んでいるようだ。

「ウチの実家はヒーターやエアコンで暖房してたからコタツのイメージを浮かばなくて」

「そうだね。ウチの暖房はホットカーペットとエアコンでコタツは買ってなかったからね」

ここに越してきた時に家具を買いに行った時、家電量販店にも寄り色々と物色してたのだが冬の時はコタツにもなるテーブルを買うかどうかで迷った時、

『移動時に邪魔になるからホットカーペットとかで良くない?』と相談して決めた結果なので我が家にはコタツはないのだ。

「あの時、やっぱ買っとけばよかったかな~?」

「今更遅いけどもちょっとこんなことで必要になるとは思わなかったよ~」

リビングのテーブルに突っ伏すようにもたれるヨメの姿を見たボクは心を癒すために淹れたココアをその横に当たってこぼさない位置に置くのであった。

ヨメは突っ伏したまま「ありがとう~」と手を振ってお礼を言い、むくりと身体を起こして淹れたココアを口に注ぐ。

はぁ~(*´Д`)と綻んだ表情を浮かべたその様子をボクは微笑ましく見ていた。

するとヨメはハッ!!( ゚Д゚)とした表情を浮かべて立ち上がる。

「どうしたの?」

「今の私の様子をコタツのイラストに落とし込めばいいと気づいたの!うはー色々と湧き上がってきたー!!」

ありがとうー!ココアおいしかったー!!と叫ぶように言いながらボクに抱きついて頬にキッスをしてヨメは部屋を向っていくのであった。

若干唖然としながらも彼女の靄が晴れたことは喜ばしいことだと同時に彼女に感化されたボクもコーヒーを飲みながら作業に戻るのであった。

2020年、まだまだ始まったばかりだけども幸先はよろしいことで。

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