第18話オタクのお正月
2019年が過ぎ、やってきた2020年。
干支も一周して鼠年となり、新規一転という気持ちも自然と高まるような感じだ。
「新年…」
「明けまして…」
「「おめでとうございます」」
起きてからリビングに向かったボクとヨメはまずお互いに新年のご挨拶をしていた。
なお、若干眠気眼でまだ完全には起きてない状態ではあるが
「そういえば“ことよろ”って殊宜しくおねがいしますって意味だっけ?」
「そんなことテレビで言ってたね。略語に思ってた人も多かったみたいだし」
ヨメが台所で準備をしながらそう聞いてきたのでボクも相槌代わりに答える。
お正月、ということもあってか家の雰囲気もいつもとは少し違うように感じるのは
やはり新しい年だからだろうかとも思った。
「はーいお雑煮できました~♪」
ハンテンを纏ったヨメがお盆に乗せた雑煮をリビングに運んでくる。
簡素ながらも用意したおせち料理と共にお雑煮を乗せた食卓は
まさにお正月といった雰囲気を醸し出していた。
「それじゃ」
「「いただきます」」
手を合わせて同時にいただきますと言うと新年初の朝食を行うのであった。
お椀の蓋を開けて湯気と共にお雑煮がその姿を見せる。
謹賀新年の蒲鉾も新年という特別さを見せてくれてこれはこれでなんだか嬉しくなる感じだ。
蒲鉾以外にもお餅にほうれん草、鶏肉に花の形に切りそろえたニンジンといった
オーソドックスでスタンダードとも取れる感じのお雑煮だ。
お出しの透き通った感じも中々に良い。
「やっぱおせち料理もだけどもお雑煮も食べなきゃお正月じゃないよね~」
「そうだね。地域によっては出汁が味噌とか使うこともあるらしいね」
そうなの?と反応しながらヨメはお餅と格闘していた。
伸びるお餅がなんとも正月気分を感じさせてボクはちょっとクスりときた。
元旦ということもあってかこの後をどうするか決めあぐねていた…
初詣はとりあえず落ち着いてから行くのもありだなとヨメと話していたのでこれは保留。
そのため、本当に何もやることがないのだ…
うーむ、と思案を巡らせていたが一向に浮かばない…
こうなれば…
「寝正月としゃれ込もう!!」
「え!?」
ボクの意外な言葉にヨメが驚いて素っ頓狂な声を上げた。
実際ボクもそれはどうなんだと思うけども考えてみれば正月の元日は元々そういった感じだったというのだから
「そう、これでいいのだ!」
若干きょとんとした表情を浮かべながらもすぐに笑みを浮かべたヨメはうん、と了承の頷きをするのだった。
そんなこんなで2020年も緩やかに始まっていくのだった。
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