第17話オタクの年末進行

気づけばもう12月。

日本としては新年号初の年末を迎えようとしている状況。

師走と言われるだけに多くの人が今年の仕事の大詰めの為に奔走、

無論、我々創作に携わる者たちもまたこの時期は死に物狂いの戦争と相成るのだった・・・

「・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

ホットカーペットの敷かれた床に突っ伏したままボクもヨメも沈黙を続けていた。

カーペットの暖房の暖かさがスパルタ作業で鞭打たれた身体を優しく包んでくれるようだ。

ボクらどちらも年末における仕事の多さに悪戦苦闘に追われ、今し方終えたばかりだった。

コミケ用作品の制作、依頼されたイラストやコラムの寄稿とラッシュが続いたこともあってか

時折仮眠を取りながらもようやく二人三脚で決着を付けることができたのであった・・・

「うう・・・流石に疲れたよぉ・・・」

ヨメの呻きとも言える声をボクは突っ伏したまま聞いていた。

彼女もボク同様に突っ伏した姿勢だがボクに体が当たらないように両手を伸ばして伸び伸びと体をチーズの様に伸ばしていた。

「だけどやっと終わったからコミケまでちょっとゆっくりできるねぇ~」

ヨメの言葉にボクはそうだね、と答えながらチラッと視線を彼女に向ける。

伸び伸びと伸ばした彼女の体とカーペットの間に押し潰された感じとなっているヨメのたわわなおっぱいを

強調されたアピールとなってボクの思考を更に熱くさせた。

ボクの視線に気づいたのかヨメはボクの顔に近づくようにその顔を向けた。

「フフフ…ご褒美としてはこれじゃ足りないと思うよ?」

「ナンノコトデスカー」

唐突な片言になるボクにヨメが苦笑しながらも起き上がり、自分もそれに続くように起き上がり胡坐を組む。

「もうすぐクリスマスなんだからそれに見合ったプレゼントにしないとね~♪」

「そうだね…今年も着てくれるの?」

ボクが言っているのは去年も来たサンタコスプレのことだ。

あの時は不意打ち同然だったのと色々とヨメも気恥ずかしさもあってかパーティが

終わったらそそくさと着替えてしまったのだ。

アレはアレでよかっただけにちょっと残念さを感じていたからこそボクは今年は最初から着てほしいと

思いこう切り出したのだ。

「いいよ。今回は流石にサプライズとはいかないけども…そうだ!キミの分も用意してるわ!!」

「え…!?」

「大丈夫、私の様な感じの衣装じゃないから」

「キミと同じ衣装は流石にネタ以外のなにものでもないよ…」

若干その姿の自分を想像してしまったがそれはすぐにヨメのサンタコスプレで上書きして消滅させる。

まあボクもコスせずにヨメだけ着飾るのは味気ないと思ってたろうし、ヨメも楽しんでほしいと考えてたのもあってか

ボクは二つ返事で了承した。

それを聞いたヨメはパアァっと表情含めて明るくうれしさをアピールし、ボクに抱きついてきて思わずボクはバランスを崩してしまう。

今年もこんな感じではあったがそれでもボクらはほんの小さな幸せを噛み締めながらクリスマスをそして年越しを過ごしていくのであった。


「よいクリスマスをそしてよい年越しを」

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