第16話オタクの焼きそば


ある日の昼頃、ヨメが昼食を作ってリビングに持ってきてくれた。

「今日のお昼は焼きそばだよ~」

「おお~今日のお昼も美味しそうだ!」

テーブルの上に置かれた昼食を観てボクはそう言葉を漏らした。

今日の焼きそばは豚肉ともやし中心でソースは粉末タイプの奴を

使用したもので麺は細麺タイプだ。

その言葉にヨメも上機嫌となったのかフフンと鼻を鳴らす。

そんな彼女に微笑みを感じながらボクは焼きそばをすする。

「うん、やっぱこのタイプの焼きそばが個人的には好きだな~」

「私は液状ソースを使ったのが好きね。ただ麺はこういう細いのが良いけどね」

ふと何かを思ったのかヨメはある疑問を浮かんだのかボクにそれを投げかけてきた。

「そういえばカップ焼きそばってどうして焼きそばなんだろうね?お湯を使ってるのに…」

「あれは厳密には『焼きそば風』らしいからね。具体的にはインスタントと同じだから」

ボクの言葉にヨメも納得したのか焼きそばへの箸を止めず、うんうんと頷いていた。

「そういえばカップ焼きそばで思い出したけども作る際に色々やらかしたことない?」

「ああ…なにを勘違いしたのかかやくを開けずに取り出さずにそのままお湯入れたり、湯を入れる前にソースを入れたり」

「あるある(笑)」

ボクの失敗談にヨメも過去に似たことを行ったことを思い出したのか、苦笑いを浮かべボクもそれに釣られ笑みを作る。


「ねえ、カップ焼きそばに具材を入れたことある?」

「具材って追加で湯切りの後とかに入れる意味の?」

ヨメへの疑問にボクがそう答えるとうん、と彼女は頷いた。

「あるね。塩コショウで炒めたキャベツと豚肉を絡めたカップ焼きそばの上に乗せたりとかやったな」

「だよね!普通に食べるのも美味しいけども健康とかもう一味付けたいとかさ」

「・・・なんかあった?」

「・・・うん。ちょっと仕事でね」

若干テンションを下げた顔で焼きそばを啜るヨメにボクはどう言葉を掛けるべきか迷った。

それに気づいたヨメは気にしないで、とこっちの顔に近づいて

「別にいいの。もう済んだことだし。よし今度カップ焼きそば買ってこよう!」

「何か食べたくなったの?」

「うん、やっぱこういう話をするとカップ焼きそば食べたいって気持ちはあるよね!だから今度の買い物で買ってくる!」

「有言実行だね…」

ヨメの気持ちの変わりようの速さにボクは苦笑しつつもやっぱこういうすぐ元気になるところが良いなって思っていたのだが

「そこがキミの良い所だね」

無意識にそう言ってたようでそれを聞いたヨメは若干顔を赤らめて照れ隠しとばかりにボクを全力でぶっ叩く。

10月の秋らしからぬ暑さも落ち着いて寒さを感じ始めた11月の冬を感じさせる1日での出来事。

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