第14話オタクの夏
夏真っ盛りの今日。全国的にも猛暑日和というあんまり嬉しくない暑さの
バーゲンセールに外へ出ることを億劫とさせる。
冷房の効いた部屋で作業を行っているがそれでも照り出す真夏の太陽の輝きは
直接感じてなくとも暑さを思わせる。
ふと横を見るとカップの中身がカラに気づいたボクは息抜きも兼ねて水分補給しようと席を立つ。
部屋を出てキッチンに向かい、冷蔵庫から氷と冷えた麦茶を取り出してカップに注ぎ、その場で一杯飲む。
喉が潤いを欲していたのか、冷たい水分を通したボクの身体は冷たさが全身に通る喜びを得ていた。
再度、麦茶を注いだ後、リビングで少し寛ごうと足を運ぼうとした時、ふとリビングで何やら物音がした。
「?」
気になったボクはカップを置いてリビングの方へと恐る恐る足を延ばす。
そして次の瞬間、ボクは目の前が一瞬真っ白になり、目に見えた“それ”を捉えた。
「…あ」
ボクと目を合わせた“それ”は声を漏らした。
そうボクの眼の前に居るのはヨメだった。
だが、普段のヨメとは様子が違うのだ。
今のヨメの姿は…水着を着た状態でリビングに居たのだった。
しかもただの水着ではない。
それは…競泳水着だったのだ!!
豊満なヨメの胸が競泳水着の締め付けもあってかとてもボリューム感がいつもの倍の様な感じになってて
とてもグッドと思っていたがそれは敢えて言葉には出さなかった。
「「・・・・・・・・」」
気まずい。
上述の様な感情はともかくとしてお互いどうすればいいのかタイミングを完全に逸脱してしまった様子。
ヨメの水着姿はホントご無沙汰だったのもあってか何というか自分でもどう表現していいのかわからない感情が浮かんでいた。
ただこれだけは言える。というかこれしか今は思い浮かばなかった。
「イイい…とてもイイよ」
その言葉を聞いた瞬間、ヨメはおもっいきり顔面を真っ赤に染め上げた。
恥ずかしかったのか自分の身体を強く抱きしめる様な姿勢になり、それも相まってか更に胸を強調する感じになっていた。
「あ、あのね。今年は全然海を行けなかったのもあってせめてサイズ確認を考えて引っ張り出してね」
ヨメは非常にテンパってる様で言い訳がややおかしくなってるが大丈夫、ボクも色々思考がしっちゃかめっちゃかである。
とりあえず落ち着く為に急いで冷蔵庫から麦茶を持ってきてお互いに飲むことにした。
一杯飲んで落ち着きを取り戻したのか、ヨメは一回咳払いをして正座のまま同じく正座のボクに言葉を投げた。
「ごめんなさい。落ち着きました。そして色々聴きたいことがあるとは思いますが」
「いや、なんとなく理由はわかるよ。今年は全然行けなかったからね、海」
今年の夏は色々とあってか結局海どころかプールにすら行ってなかったのだ。
計画こそしていたのだが紆余曲折あってお流れになってしまう。
これに関してはボクの落ち度でもあるなと反省の表情を浮かべるボクにヨメは首を横に振りながらも優しい顔を見せる。
「気にしないで。むしろ私も水着新調するにしても今の水着も勿体無いと思ってのも原因だから。ちょっと胸がきついし」
ボクの視線には水着を着たヨメの豊満な谷間が入ってきて若干頬を赤らめることになったがすぐにヨメの顔に視線を向けて
「よし、プールに行こう!」
「え!?」
「せっかく夏なのにしかもキミがせっかく水着を新しく買おうとしているのに水辺に一度も行かないのは勿体無い!!だから行こう!!」
「ちょ、ちょっと待って!別にすぐに行かなくても」
「いや、少しは夏の思い出を作らないと善は急げだ!!水着買いに行こう!!!」
若干どころかかなり暴走したボクにしどろもどろになっているヨメであったが最後はいいよね、といった表情を
浮かべて着替えてボクと一緒に水着を買いに行くのであった。
後日、ヨメとプールに遊びに行き、そこら辺を知り合いに話したら「リア充この野郎」とオンライン対戦で
完膚なきまでにボコボコにされたのはまた別の話であった。
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