第12話 オタクのコーヒー

「気にいってるよね~それ」

ある日のダイニングでボクが“それ”を操作していると

ひょっこりと現れたヨメがニヤッとしながらボクの様子を見ていた。

ボクは“それ”の操作を行いながらヨメの言葉に答えた。

「うん、お手軽にコーヒーを飲めるようになったのは仕事上とても嬉しくてね」

そう言いながら“それ”こそコーヒーサーバーこと『バリスタマシン』の点灯しているドリップレバーを動かす。

点灯したレバーが起動中を意味するように点滅すると同時に音を立ててコーヒーをたてていく。

しばらくその様子を眺めてレバーの点滅が終わるとボクはコーヒーの入ったカップを取り出す。

その後、冷蔵庫から出した牛乳と砂糖を適量入れて完成したお手製コーヒー牛乳を口に入れる。

「やっぱ濃さとか旨味とかだいぶ違うね」

「バリスタって確かコーヒー専門の人だっけ?」

コーヒーを飲みながらボクはヨメの言葉に頷く。

「調べたらエスプレッソを出す人のことを言うみたいだね。バーテンダーみたいな感じでもあるのかな」

「バリスタだけ聞くと武器とか連想するよね」

うんうん、と賛同の頷きをしながらボクはコーヒーを更に口に入れる。

「アーバレストとかそっちを思い浮かぶよね」

「人によってはロボットの方かもしれないけどね」

あるあるとお互いに笑い合いながら談笑を楽しむボクとヨメの二人。

ふと気づくとカップの中身が空になってたのでおかわりをしようとバリスタの方へ向かうボクにヨメも

「私もお願い」といった視線でカップを差し出してたのでOKといった表情をしてボクは二人分のコーヒーを用意するのであった。


「インスタントと言えどコーヒーってやっぱ淹れ方で味とか変わるんだね~」

ボクの淹れたコーヒーをブラックのまま飲むヨメの言葉をボクはノートPCで仕事の作業をしながら聞いていた。

「確かに漫画や本とかでもひと手間加えたりすると味や飲み応えがだいぶ違うってのは知ってたけども実際やるまではわからないものだよね」

そうね~と相槌を打ちながらコーヒーに口を付けるヨメ。

「そういえばブラックって飲めないの?」

「飲めなくはないけど…やっぱあの苦味が苦手で…」

ブラックの味を思い出してちょっと苦い表情を浮かべるボクにヨメは確かに、と相槌を打ちながらコーヒーを飲む。

「あの苦味は中々慣れないからね。特にインスタントのはダメって人もいるみたいだし」

「そういえばインスタントコーヒーはデンプンを入れてるんだっけか?それもあるのかな?」

「コーヒー豆からの場合は焙煎とかあるんだろうけどもインスタントはどうなんだろうね」

「少なくともバリスタマシンでやったのは口当たりが違うからやっぱやり方次第なんだろうね」

コーヒーもまた奥深いなと思いつつ、カップを口に付けるがすぐに違和感に気づき見ると、中身が既にカラだった。

「気づくとすぐに空になってるな~」

「どうする?おかわりする」

「いや、流石に飲み過ぎだから少し時間を置くよ。飲みたくなったらまた淹れるし」

「じゃあ私はもう一杯飲もうかな~今度はカフェラテで~♪」

ルンルン気分でバリスタの方へと向かうヨメの姿にボクは「なんだかんだキミも気に入ってるよネ」と思いながら作業の続きをするべく

ノートPCの方へと身体を向ける。

ほのぼのとした普通な日常のひと時に呑むコーヒーはかくも美味しいものかと感じながらカフェラテを淹れるウキウキなヨメの姿を連想するのであった。

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