第9話 オタクの女騎士像


「ねぇ、女騎士ってエロいと思う?」


仕事も終わり、ヨメと久々に対戦ゲームで遊んでいる最中、

ある程度対戦を終えた際の休憩中で前述の発言をヨメが唐突に言い出したのだ。

お陰で喉が渇いたから飲んでいたカフェオレを盛大に吹き出し掛けた。

むせる形になってしまい、おもっいきり咳き込んでいるのを見たヨメが

ボクの背中を優しくさするのであった。

「大丈夫?」

「ありがとう…けど急になんだい唐突にそんなこと言い出すなんて…」


多少まだむせながらもボクはヨメにその疑問を聞き返した。

ヨメは若干うーんと唸りながらしばし考えてからこう答えた。

「なんとなく、かな」


おいおい。


「だってーよく最近多方面とかで女騎士関連のネタが良く上がる様になったじゃない?私も時折ダメージ有の女騎士のイラストの依頼があったりしてやっぱそこら辺で需要あるのかなって」


ヨメの言い分にも確かにとボクは思った。

近年、女騎士関連のイラストや話とかは話題に上がるもののホントに需要というかキャラとして好かれているのかが疑問に抱くのも創作者としての常かもしれない。

需要と供給という点では人気があるのかもしれないがそれが一過性だけにしては確かに勿体ないと思う。

特に物語を作る側にしてもそれだけはキャラが泣いてしまうし、作家も哀しいものだ。


「こーら、まーた一人で考え込んでるゾ?」


ヨメが僕の額に軽くデコピンしながらそう言った。

どうやらボクの悪い癖『考え込むと表情が歪む』が無意識に出てたようだ。

デコピンしたヨメはその勢いでボクの額に自身の額を合わせてこう言った。


「1人で悩むより二人で悩んで一緒に解決しよ?夫婦なんだし、ネ?」

「うん…、そうだね」


額を合わせたまま、ボクは笑みでそう答えヨメもそれにつられるように笑みになった。


「で、話戻すけどもどう思う?女騎士のエロさって」

ヨメの話題にボクはしばし一考し、浮かんだことをそのまま口に出してみた。

「うん、個人的な感想としてはイケると思う」

「具体的にどこが?」


一瞬戸惑ったが正直言うべきだなとボクは口を開いた。


「えっと…」

「やっぱおっぱいだよね?」

「バッサリ言うなよ!?そうだけども…デッ!?」


さっきより強烈なデコピンをかまされた。

額を抑えるボクを余所に彼女は話を続ける。


「…そりゃあおっぱいも良いけどもやっぱ騎士としてのデザインとかも考えるの面白いなと思ってさ」

「あー確かにエロくデザインするにしても騎士って感じにするのは大事よね。無論おっぱいもだけども」


納得した様にボクの言い分にヨメも頷く。


「よし、今度女騎士描く機会があったらそこら辺を追及していこうかな!」

「あ、じゃあ後で描いてくれる?報酬は一週間家事をするとか」

「いいでしょう!要望などありましたら承りますよ~」


などと色々と女騎士に談義していてゲームをしていることをすっかり失念していたのは内緒である。

春の一端を感じる様な陽気の1日の出来事だった。

後日、友人とファミレスで食事している時にそのことを話したら、どこか悲痛な表情をしながら「またノロケ話かよ。いいよなリア充はチクショォォォォォォォ!!!」

と絶叫を上げていた(その後、店員に怒られて二人で謝るのであった)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る