たいようと背のび
太陽のまわりをぐるぐると回るこの星の上で、私たちは小さな悩みを頭の中に巡らせる。それは多くの人にとって本当に些細でくだらないことかもしれないけれど、私にとっては等身大の悩み事だ。
昔から多くの人たちは、広い空でもぼんやりと眺めながら、自分の悩みは世界にとってはちっぽけなものだとか、いろいろと無意味に呟いたりして生きてきたのだろうけれど、自分と世界なんかそもそも比べるものでもなんでもないし、青空を見上げたところで答えのひとつだって見つかるはずもなく、ただ気を紛らわせる程度が精一杯に決まっているじゃないか。
だから、私は空に対してではなく目の前の彼女に、しっかりと向き合って話をしなければいけないのだ。私の気持ちを受け止めてくれた、同じ女性である彼女に。
「ねえ、有希はなんで私と一緒に生きようと思ってくれたの?私はあなたに何も返してあげられないし、もしかしたらあなたの大切な未来を奪ってしまうかもしれないのに」
私がそう言うと、彼女はニッコリと笑った。
「たとえばあんたは、太陽が銀河系の中を移動することに、どんな疑問を抱くというのかしら。そして、その太陽の周りを多くの惑星が寄り添うようにまわっていることに、何の理由を求めようというの?」
それは彼女の純粋でシンプルな問いかけで、空の下に生きる私にはとても答えられそうにない、複雑な問いだと思った。
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