かかしそむける


 考えることも感じることもやめてしまったカカシは、夜の闇の中にただ一人残されて、仕方なく涙を流すのでした。それはとても冷たい涙で、頬が凍えてしまいそうなあふれる涙でした。

「あいつはつまらない人たちの中で、つまらない顔をしているだけだ。だから、まるで磔の刑にあったように、つまらない人生を思い出すのさ」

 カラスたちは口々にそう言って、カァカァと笑いました。

 カカシはそんなカラスの悪口を意に介さずに、感じることも考えることさえしないのでした。 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る