ワンフレーム
街を見下ろす丘の上から、なつかしい学校の姿を探した。中学を卒業してもう20年以上が過ぎた。僕もいい加減それなりの大人になって、落ち着いてしまって、夢なんかひとつも叶っていないのに、それでもいいやと思えるようになってしまった。
やりたいことは無数にあったはずなのに、そのどれも思い出したところで心が揺さぶられることなんてない。すべて過去の夢。あのころの、一時の病のような、ただの夢。
丘の上からはどれだけ探しても学校は見えなくて、その手前に大きなビルが建ってしまったことに気が付いた。
あの死角の向こう側、ここからは見ることのできない、僕の通ったかつての中学校は、今でも同じ姿でそこに在るのだろうか。
その答えはきっと必要ないのだと、僕は記憶のうちにある、かつての姿を思い出していた。
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