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「・・・どうしたらいいんでしょう、私」
神妙な、というよりは今にも想いが溢れてしまいそうな表情で彼女は言った。
いや、どうしたらいいんでしょうって言ったって。その不安とウキウキの混ざった顔で言われても。
「やっぱり、ミケさんのご迷惑になっているでしょうか?」
「そんなこと、ないと思うけど」
だって今までゲイとして生きてきたミケが女の子のイツキちゃんとデートしてるくらいなんだよ? まぁ最初はイツキちゃんの事男の子だって信じて疑わなかったけどね。
「そうでしょうか」
困ったように眉根を寄せたイツキちゃんが続けた。
「ミケさんのことはちゃんと分かっているつもりです。恋愛対象が男性だってこと、ちゃんと知っているんです」
でも、と続きを言いかけてイツキちゃんはグラスを傾けた。グラスに半分ほどになったファジーネーブル、なんだかとてもイツキちゃんにピッタリに思える。
「でも、ミケさんは優しいから、もしかして無理してるんじゃないかって」
「ミケが無理を?」
「だって、私なんかと一緒に居たって楽しくないだろうし」
自分でそう言って顔を伏せる。あぁ、なんでこうも恋とは難しいものなんだろう。
「イツキちゃんはミケのことが本当に好きなんだね」
「え、は、い・・・って、あれ、私、そう言うつもりじゃ」
そう言うつもりじゃなかったって? でもバレバレだよ。最初からイツキちゃんもミケに気があるのかなとは思っていたけど、そうか。なんか俺安心しちゃった。
あ、でもまだ付き合ってないよね?
「つ、付き合うなんて、そんな、そんなこと無理、無理だし」
「無理じゃないかもよ?」
「えっ、だってほら、ミケさんって」
「しぃ。イツキちゃんが見ているミケはまだ一面だけかもしれないよ。それを知りたくて、ここへ来たんじゃないの?」
そう言うと、イツキちゃんは顔を真っ赤にして数秒間の沈黙の後、コクン、と頷いた。
「私、これからも頑張っていいんでしょうか・・・」
「いいんじゃない。恋に頑張る女の子ってとてもキラキラしていて、素敵だから。俺に出来ることがあったらいつでも言ってね」
はい、と頷いたイツキちゃんの瞳はもうキラキラと輝いている。この先の未来も、どうかキラキラしてくれたらと、俺は思うわけで。
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