#3


 姉はしばらく考えたのち、強く頷いた。


 「返しましょう」


 「分かった。お姉ちゃんがそう言うなら」


 リンから金貨を受け取り、姉は玄関から外に出た。怪しい二人組がそっぽを向いて口笛を吹いている。


 「まさか、あんた達。金貨を狙って……」


 「あ、お兄ちゃん!」


 姉はリンを凝視した。


 「お兄ちゃんって、誰?」


 「このお兄ちゃんが金貨をくれたの!」


 姉は真っ直ぐにレインに向かって歩いて行き、金貨を差し出した。


 「せっかくの好意だけど、私達には大きすぎるお金です。お返しします」


 レインは顔を合わせようとしない。そして、急に真顔になった。


 「じゃあ、何したら貰ってくれんだよ」


 「は?」


 「は?じゃねぇよ。何したら貰ってくれんだよって聞いてんだよ」


 姉妹は顔を見合わせてしまった。


 「こいつもそう言ってるし、それにこいつは引き下がるような奴でもない、貰っとけ」


 「でも」


 「じゃあ分かった!勝負しようぜ!」


 ハガンは嫌な予感しかしなかった。


 

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