三章 #1 城下の姉妹





 ──セロディアナ王国の城下町。レインとハガンは喫茶店で少し遅めの朝食を取っていた。


 レインはメロンソーダをストローで飲んでいた。


 「メロンソーダって、メロンの味しなくね」


 「そうなのか?飲んだことねぇから分からねぇな」


 ハガンはコーヒーをたしなんでいる。


 「メロンパンもメロンの味しねぇんだよ」


 「あぁ、それは分かる。何でだろうな」


 「メロンの味ってどんなだっけ」


 そこからか。ハガンはまたレインワールドに引きずり込まれる覚悟をした。


 「さぁ?どんなだったかな」


 「説明しずらい味だよな、メロンて」


 「あぁ、甘いくらいしか浮かばないな」


 「だろ?メロンほど曖昧な食べ物はない」


 持論を展開するレインの元に、一人の幼い少女が駆け寄ってきた。手には花を入れたかごを掛けている。


 「どうした?お嬢さん」


 ハガンは少女に声をかけた。


 「お花買って!」


 レインは頷いた。


 「いいぜ。食える花をくれ」


 「おいおい、腹壊すぞ、やめとけ」


 少女は食べれる花、食べれる花、と言いながらかごの中身を漁った。


 


 




 

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