二章 #1 ラウスとバカと港町






 ──海に隣する港町。レインら二人は船着き場で船を待っていた。


 「ん?」


 「なんだ」


 「──←こいつ機嫌直したみたいだな」


 「そうだな。でもそこにはもう触れないでくれ。ややこしいから」


 二人は木の箱に座り、ハムとレタスのサンドイッチを頬張っている。


 「しっかし、平和だよな。この国」


 「そうか?盗賊は多いし、犯罪も減ってねぇが」


 まぁな、とレインは横になった。


 「弱い奴が徒党を組んだって、所詮俺の敵じゃない」


 ハガンは狼のような髭を撫でた。


 「強いやつと戦いてぇんだな。居るじゃねぇか、他の三神がよ」


 その時、紫色のショートカットの女がレインらの前で立ち止まった。


 レインとハガンは女を見た。魔力からしてかなりの手練れだと分かった。


 レインはにやけながら殺気を放った。


 「おいおい、初対面で殺気を出すとはな……。私はラウス。聞いたことはあるだろ」


 レインは首を傾げたが、ハガンはラウスの名に聞き覚えがあった。


 「五星ごせいか」


 レインは起き上がった。ラウスを嬉しそうに見た。


 「おばさん、俺と殺らねぇか?」


 「おば……。私はまだ31なんだが。遠慮しておくよ。お前は三神さんしんだろ、五星では相手にならないだろう」


 セロディアナで八強とされる、五星三神ゴセイサンシン。戦闘において頂点に君臨する者達。五人の星とその上の三人の神。ハガンは五星で、レインは三神だ。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る