#2 





 レインとハガンは砂漠の中心にある町で羽を伸ばしていた。


 「極楽極楽」


 「オアシスって感じだな」


 小さな湖を囲むように町が出来ている。二人は椅子に深く座り、湖を見ながらこの地で採れた果実のジュースを飲んでいた。


 「よし」


 レインがおもむろに立ち上がった。


 「どうした?クエストでもやるのか?……なるほどな」


 ハガンは感じた、この町に迫る集団を。勘が鋭いハガンより先に敵の存在を感じるとは、流石レインだと感心した。


 「やるのか、レイン」


 「何言ってんだ?当たり前だろ」


 レインは三度の飯より祭りと戦いが大好きだった。


 





 ラクダに乗り武器を持った集団が、砂漠のオアシスに向け走っていた。


 「今回も楽勝だな」


 男達は笑みを浮かべた。


 「カシラ!町の前に誰か立ってます!」


 カシラと呼ばれた男は鼻を鳴らして言った。


 「構わねぇ、行け」


 町の前に立つ二人の男。それを目掛けてラクダの群れの前衛が突っ込んだ。


 ラクダの群れを目前に捉え、その場に立ち尽くす一人の男がニヤリと笑ったように見えた。


 「まずい、止まれ!」


 カシラの叫びと同時に、前衛が爆炎と共に吹き飛ばされた。


 「まずいぞ、あれは」


 カシラは皆に引き返すよう手で合図した。


 そして後ろに気配を感じた。誰かが自分のラクダに乗っているのが分かった。


 「よお、俺と遊ばないか?」


 振り向き様に剣を振った。


 金属音が鳴る。

 

 男は人差し指と中指の間で、折れた剣先を摘まんでいる。

 

 「何者だ、お前は」


 

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