RAIN─遥かなる旅─

只野趣味介

一章 #1 レインとハガン





 ──ここはセロディアナという国。魔法が発達し、誰でも簡単に使用することができた。そして魔法は使う度に熟練していき……。


 「長い」


 ──……。


 俺の名はレイン。ハガンとかいうチンピラもどきと旅をしている。特に宛はなく、自由気ままに流れ流され……。


 「おい」


 なんだようるせぇな、今忙しいんだよ、分かれよハゲ。


 「俺はチンピラもどきじゃねぇ。それに狼獣族の俺は全身フサフサだし絶対にハゲない。お前こないだ若い女にもハゲって言ってたよな」


 気にせずレインは手のひらで顔を扇いだ。


 「それにしてもあっちぃな」


 二人は砂漠を歩きで渡ろうとしていた。


 ハガンはレインを睨み付けて言った。


 「さっきの……。──←この人に謝ったらどうだ?」


 「あ?あんな得体の知れない奴に謝ってどうすんだよ。今頃隅っこで泣いんだろ?そっとしといてやるのが男ってもんだろ」


 泣かした本人が何を言う。ハガンは飽きれた。


 「仕方ねぇな。──←ごめんな。悪気はないんだ、うちのバカはバカだから気にすんなよ」


 ──狼獣族のハガンは紳士的で、困っていたり泣いている人を見掛けるとそっと手を差し出す、優しい男であった。一方レ、レイ、なんとかはバカであった。


 「ナレーションの分際で……」


 殺気を出すレインだったが、ハガンに腕を引っ張られる形で、二人は砂漠をひたすら歩いた。






 


 


 

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