第12話
「う…ん、ここは…」
「おはようリイラ。熱があるから、暫くこのまま休んでいるといいよ。」
「えっ、…あ、すみません!」
「…今、このまま休んでって言ったよね?」
「あ、はい…。」
「のどが乾いたよね?はい、飲んで。」
「ありがとうございます…。」
気が付くと、真っ白の世界だった。魔王の城は真っ黒だったので、正反対だ。
なぜかぼんやりする頭で不思議に思っていると、頭上から声を掛けられ驚いた。
更に、自分が横たわっていたのがその人の膝の上だったので、改めて驚いた。
急いで身を起こそうとすると、その場が凍り付くような冷たい声で動かないことを指示されたので、それに従う。
特にのどは乾いている感じもしなかったが、反論を許される雰囲気ではなく水を貰う。
あ、池に落ちたから、風邪ひいたのかなぁ…?
ここまで考えたところで意識を失った。
次に目覚めた時には、大分スッキリした気分だった。そしてやっぱり、頭上から声を掛けられた。
「おはよう。気分はどう?」
「…は、い。良いです。」
「そう、それはよかった。」
「あの、ここはどこ、ですか…?私、池に落ちちゃったと思うんですけど…。」
「ここは天上の世界。リイラは元々天上の者だから、帰って来たんだよ。」
「え…?」
「魔界の者はね、天上では生きられない。リイラがこうやって目覚めたということは、リイラは天上の者だということになる。」
「…。あ、の!私、家に帰りたいんです。」
「今言ったけど、リイラの家はここだよ。」
全く噛み合わない話に、リイラは混乱した。
ここでも、帰りたいと言っても帰れそうもない。
それに…、私が天上の者だというのは本当だろうか?
「あの、あなたは誰ですか?」
「ロイ。」
「ロイさん?」
「そう。」
そしてリイラが何か考える間もなくキスされる。
『んんーー?!』
必死に抵抗しようとするが、うまく身体に力が入らなかった。
大神様──つまりロイは、リイラの魂が気に入ったために、恐怖ではなく快楽を与えることにしたのだった。そのままリイラを抱き潰す。
その後は昼夜問わず、文字通り朝から晩まで時間の許す限り、ロイはリイラを抱いた。抱いていない少ない時間で、リイラをまるでお姫様のように扱いドロドロに甘やかした。ロイはリイラに夢中だったし、ロイには分かっていた。──魔王がそう遠くない未来、リイラを迎えに来ると言うことを。
その時までにリイラが少しでもロイの方を見ていてくれれば、魔王からリイラを奪えるのではないかと淡い期待を抱いていた。
リイラは天上の世界に来てから何の主張も受け入れられず、ただ強烈な快楽とキレイなものばかり与えられるので、まともに何かを考える気力がなくなっていった。少しずつ、壊れかけていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます