第119話 ご褒美フィ~ッシュ!

 どーやら世間ではゴールデンウィーク真っ只中とゆーことで。

 仕事中、スマホ弄りよって尻…違った、知りました。

 なんでこんなにも世間のことが分からくなっているのかとゆーと、三交代が原因やんね~。ホ・ン・ト、こげな仕事続けよったら、日にちとか曜日の感覚、木端微塵に崩壊してしまうよね。

 おかげさまで、


 行きがけも帰りがけもクルマ少ないでよかったぜ。毎日こうであってほしいものだ。


 な~んて考えするよーに。

 フツーの人間とは違うトコロに喜び感じるよーになっちまうんよね。


 でもでも。


 気付いてしまうとやっぱし悔しさとか裏山すぃさが顔を出す。


 とりあえず、


 よく頑張った!よく耐え抜いた、オレ!


 と、自分で自分を褒めてやりましょーそーしましょー。

 やないと、褒めてくれる人、誰もおらんきね。


 寂しくも哀しく始まった今回。

 早速本編へと移ってゆくわけなのですが、活躍したタックルは、


 ファンタジスタYABAI FNC-69MH TORQUE CORE SHAFT+リョウガ1016H


 ここ最近かなりの釣果を叩き出しているタックルなので、出番が多い!だから、おさらいすんのはもうちょい後でいいんじゃなかろーか?と、思っちょるのですよ。


 ん~なワケで実釣編、参りますぞ!


 今回の夜勤は幸いなことにプラントがメンテ。

 よって、処理は無し。しかも昨日から今日にかけては換気空調のメンテだから、処理棟内への立ち入りは禁止。←入ろうものならPCB(ポリ塩化ビフェニル、ね)濃度高くなっているから被曝は避けられん。血中PCB濃度が基準値超えたら、それこそ今の現場では働かれんごとなっしまう。

 出社はしているものの、何もやることが無いのですよ!

 仕方ないのでダラダラとスマホ弄りながら時間を潰しますぞ。


 しかしまぁ、処理棟内に入られんと、うちの会社、マジでやることねーっちゃんな。飯食うためとスマホ弄るためだけに会社来たみたいなもんやし。


 こんな楽して金もらえる素敵仕事だから、「普通の人間と同じ日に休みたい!」とか、そげなゼータク言いよったら、そのうちバチ被るよね。


 などといった会社事情はさておき、釣り。


 世間ではゴォルデンウィークらしー。

 天気は穏やかな晴れ、とゆーことは考えなくても釣り人多いっち分かるよね。

 試しに帰りがけ、会社の四階からいちばん外海に面した波止見ると、既にスンゲー人の数。←少しでも波が出るとすぐに乗り越えるくらい低いもんで、実は立ち入り禁止。よくある「暗黙の了解的釣り場」なんよね。この釣り場に行く人がクルマ停める空地には、ご丁寧に自販機が設置してある。こんなんで「釣り禁止」とか言われても、説得力まるでなし。

 帰りがけ、空地の前を通ると釣り人のクルマで満車。入りきれなかった人たちが、かなり向こうまで路駐していて片側二車線の道路はだいぶん向こうまで一車線埋まっている、といった状況。

 それは遠賀川でも同じで。

 オカッパリ多数、ボート多数、ヘラ釣り師多数、コイ釣り師多数。


 この感じやったら前の川も間違いなく多いよね?


 とゆー想像が容易にできちまう。

 しばらく田んぼ地帯を走って土手に出ると…ほ~らね。


 有り得ん数のオカッパリたち。

 ゴムの場所には複数台のクルマ。消波ブロックの始まりと終わり、底に変化があるポイントにはすべて釣り人。

 家の近所の河川敷にも3台止まっていやがる。

 その周辺にオカッパリが一人もおらんところをみると、こいつら全員ボートなワケで。つるんでなければ、最大3隻浮いているとゆーことになる。

 分かっちゃいたけど、現実を見てしまうとテンション下がるよね~。


 やっとのことで家に辿り着き、朝飯食ってしばらくダラッとしていると台所から音が消えた。どーやらバーサン用事が終わったらしー。

 数日前頼まれていたカレーを作ることにする。

 これを終わらすと、本日ワタクシがやるべき家事はすべて終了。


 あとはただひたすらダラ~ッとするだけ♪


 昼になり飯食ってボーっとしていたら、案の定超絶激しい眠気。このまんま睡魔に負けてしまうと夜寝れんくなるのは確実。明日に持ち越して同じパターンを繰り返し、早番一日目は徹夜!といったパターンが成立する。そーなると業務中激しい眠気に襲われて、仕事どころじゃなくなっちまうんだな。まぁ、そんなときは躊躇なく寝るけどね。


 と、そんなワタクシの不真面目な仕事っぷりはさておき、釣り。


 帰りがけ目にしたフィールド状況を考えたらとてもやないけど繰り出そうという気にはなれない。でも、ボーっとしていたら確実に寝てしまう。

 だから無理してでも行動に移すのだ!


 まずはタックルを決めるよ。

 帰りがけ見た川の状況を思い出す。


 まあまあ激しい濁りっぷりやったよね。田植えありよるき、しゃーなしだ。

 こんな時は大き目のストレートワームでネコリグかな?ゆっくり攻めると効くことがあるもんね。去年もこの時期ナナコさん(カットテール7.75インチ)で釣ったし。


 過去のデータと照らし合わせ、導き出したタックルは、


 ファンタジスタYABAI FNC-69MH TORQUE CORE SHAFT+リョウガ1016H

 糸はフロロ16ポンド


 ここ最近主力兵器になってきつつある、フツーの重さからヒジョーに重いものまで扱える、優れものかつお気に入りベイトタックルでございます。


 サオ置き場から引っ張り出し見てみると、ヨレ対策してあるノーシンカーがリグってある。

 やりたいのはネコリグなので、スイベルのリール側の糸を切ってガード付きマスバリの#2/0を結ぶ。

 タックルボックスには既に1/16オンスネイルシンカーと熱可塑性ワッキーチューブをセットした6.5インチカットテールがある。

 色がブルーキルなのでこの濁りじゃ少し弱いかもだけど、大きさ的にイケそうだったから使うことに。

 チューブにハリを通すと準備完了。

 サオを持ち、バッグをπ/に掛け、いざ出発だ!


 土手に出ると、見える範囲に釣り人はいない。

 河川敷にいたクルマたちも既に撤収している。


 お…なんかいいかも?


 ちょっとだけテンション持ち直しつつ河川敷を見ると、


 うっわ~…なんか、これ?


 タイヤの痕跡多数。

 流石、ゴォルデンウィークパワー。


 そして、川を見るとさらなるイレギュラー。

 狙おうとしていた水門の沖にはかなりデカくて黒い鳥が浮いていやがる。


 あ…これ、鵜やないん?こげなんとがおったら魚、警戒して食わんかも。


 せっかく釣り人おらんくなったのに、この仕打ち。


 詰んだかな?


 とはいえ、用意までして出てきてしまっているワケだから、釣らんまんま帰る選択肢はない。

 急きょ、作戦変更。

 あまりにもメジャー過ぎて、狙っていたら素人感バリバリで恥ずかしささえある橋脚のポイントに入り、挨拶がてら撃ってみる。



 まずは橋脚の下流にある水位計から狙うよ。


 一投目。

 水位計の向こう。

 下流側にキャスト。

 底を取り、チョンチョンチョン…。

 水位計の根元を引いてくるけど、全く異常無し。

 同じく上流側も狙うけど、全く異常無し。

 このようなポイントは付いていたら勝負が早いから見切るよ。


 次は橋脚。

 下流側の端から撃ってゆく。

 まずは浅い角度で橋脚の裏側を狙う。

 が、異常無し。

 角度を変え、正面から撃つ。

 が、やっぱし異常無し。

 そのまま1mずつ刻むイメージで上流側に撃ってゆく。

 が、やっぱしやっぱし異常無し。


 側面は撃ち尽くしたので、残るは上流側の端。

 橋脚の際に撃ち込み底を取っていると、


 コツッ。


 小さいけどハッキリと分かる、弾くような生命感が伝わってきた。


 食った…よね?


 そっとサオを立てて聞いてみると、重さが僅かに乗っている。


 やっぱ、食っちょー!


 ひと呼吸置いて、そのまま大きくアワセを入れる。

 が、動かない。


 アレ?今の、アタリやなかったん?


 意味不明。

 巻かずにサオを立ててみるけど、やっぱし動かない。

 どーやら化けたっぽい。


 切るか。


 ガッカリしながらサオとルアーを一直線にして引っ張ると、突如上流方向に走り出す。


 ブチ…ブチ…


 嫌な感触。


 糸、擦られよるやんか!ヤッベ~…ここ、根掛かり多発地帯やもんね。巻かれた?


 サイコーにイヤな予感がするものの、


 ゴリッ…!


 一際大きな擦れる感触の後、


 キュイ―――――ッ!


 水切り音と共に純粋な生命感に変わり、沖に向かって突進された。

 直後、水面に向かう気配。

 急いで巻くと反転して姿が見えた!

 どーにも茶色っぽい。


 ズーナマさん?


 さらにリールを巻くと、


 バシャバシャッ!


 足元でド派手なエラ洗い。


 人違い。本命さまじゃ~ないですか!


 確認と同時に二度目のエラ洗い。


 うっひょ~!でったん元気じゃ~ないのよ!


 飛んだ瞬間、視界の端にぶっ飛んでいくワーム。

 川の中にポチャ。


 あ~、勿体ね~。


 ゴリ巻きすると、距離がないためすぐに足元。

 そのままサオを立てて抜き上げる。


 キレーな魚体。


 僅かにお腹が凹んだ多分産卵真っ最中か、アフター回復系の女の子。

 スマホのカメラを起動させ、いつもの如く記念撮影。

 指を広げて測ったら、ちょうど二回。

 40cmぐらいやな。

 サオの模様で大きさを測り、そっと逃がしてあげました。



 ワームが飛んでいってしまったので再度同じモノを作ってセット。

 糸は擦られて傷が入っていたので切ってハリも結び直す。


 っち、あっぶね~!さっきオレ、思いっきし抜き上げたよね?


 これ、ちょいちょいやってしまうき、結び直す時ゾッとするっちゃんね。




 そして、結び直した一投目に、またもやドラマが起こるのです。

 今釣れたポイントより1mほど下流。

 橋脚でできた影との境界にピッチングで撃ちこんで底を取り、テキサスリグの要領でゆっくり目にフワフワ躍らせる。

 すると底の感触が消え、空振りするような感覚に変わった。


 ん?


 アクションを止め、糸に目を移すと、


 フ―――――…


 下流方向に不自然に動いてゆく。

 ひと呼吸置いてアワセを入れると、重さが乗った!


 二匹目のドジョウがおった!いや、ドジョウじゃないけど。


 巻くと下流方向に突進。

 そして、水面に向かう気配。

 重さが一気に失われ、


 ガボッ!


 エラ洗い。

 潜ったら下流側に突進。

 ゴリ巻きすると一気にこっち向いて足元に。

 抜き上げようとすると反転。

 魚体が見えた。

 今度は白かったき、すぐにバスっち分かったよね。

 足元への強烈な突っ込みを数度躱すと、浮いてきたので一気に抜き上げる。


 キレイな魚体。


 今度はお腹が自然なカーブを描いているから♂かもね。

 見るからに一個前の子よりデカい。


 やった!サイズアップ性交…違った、成功!


 大喜びしつつ記念撮影し、大きさ測ったらバイバイまたね!冬にまた会おう。




 抜き上げた際、またもやワームがぶっ飛んでいったので、ハリを結び直して再度同じモノをセット。

 橋脚を万遍なく撃つけど…そこまで甘いハナシ、あるワケが無いよね。


 見切って移動することに。



 数10m上流に移動し、真正面の二本ある大きな木の間を狙う。

 底を取り、引いてくる。


 その数投目。


 石のゴリゴリを感じながら引いていると、底を叩く感覚が無くなりスカスカと空振りしだす。


 ん?さっきと同じ感触…っちゆーことは、食った?


 ひと呼吸置いて弛みを取り、ゆっくり目に大きくアワセると、重さが乗って突進が始まる。

 バット部分から大きく弧を描くサオ。

 リールを巻くと、徐々に重さが失われ、


 バシャバシャッ!


 エラ洗い。

 大きな水柱が上がった。

 本命さん!

 対岸方向に突っ走ると、またもや、


 バシャッ!


 二度目のエラ洗い。

 潜ったり走ったりを繰り返して抵抗を続ける魚。

 なかなか寄ってこない。

 サオを立て、強引にリールを巻き続けることしばし。

 やっと足元まで寄ってきた。

 さらにサオを立てたら浮いてきて、魚体確認。


 かなりデカい!


 そのまませーの!で抜き上げると、これまたいい魚!


 河川敷で暴れている。

 取り押さえ、左手親指を口にねじ込み、下アゴを掴んで持ち上げると、


 ん?


 どーにも二番目に釣った魚っぽい。

 が、記念撮影の後、サオで大きさを測ったら少し小さい。


 良かった。「のべ、3本」やなかった。


 撮影も無事終えたので、体勢を低くしてそっと水に投げ込んであげました。



 まだまだ時間があるので、いつもの水門まで撃っていくものの、後が続かない。

 良い時間となったので撤収することに。




 それにしてもよかったよ。

 連休パワーでスレまくって釣れんかと思いよったもんね。

 今年になって一本/日しか釣れてなかったので、この3本は超絶嬉しいよ!


 参考までに最初の子が41cm、2本目は44.5cm、3本目は43cm。


 全て40UPでいい魚!


 お休みの中、仕事したっちゃき、たまにはこんなご褒美もないとね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る