第64話 マジ、勘弁…。

 夜勤中。


 ボチボチ仕事にもキリが付きそうな雰囲気を醸し出してきた午前1時ちょい前。

 クレーンを操作していると突如胸ポケットの電話が鳴る。


 こげな時間に、誰?


 変な胸騒ぎがする。


 すぐ近くにいた上司に着信していることを知らせ操作を変わってもらい、ポケットから電話を取出すと画面には子供の名前。


 電話やらほとんどしてきたことないのに、なんで?


 いよいよ嫌な予感しかしない。

 最悪の事態を想定しつつ電話に出ると、


「おとーさん…事故った…」


 やっぱし!


 思っていたとおりの展開。

 一瞬にして下がる血の気。

 血だらけになった子供の姿が脳裏をよぎる。


 続けざまに、


「ケガはしちょらん。どっこも痛くない。○○(同乗していた友達)も大丈夫。」


 自分と同乗者、ともに無事だということを伝えてくる。


「なんか?何しよったんか?」


 状況を聞くと、


「山道走りよって、いきなし動物が飛び出してきて…ビビって急ブレーキ踏んだら滑って斜面に刺さった。」


 だと。


「峠っち、どこのか?」


 という質問に対し、


「三瀬峠。」


 げな。


 …はぁ?なんかそれ!佐賀県やんか!


 でったん遠くでやらかしていたことが判明し、呆れ果てた。

 本人にも同乗者にもケガがないことが分かり安心すると、途端に激しい怒りが込み上げてきて、


「見てみぃ!夜遅くまで遊びまわるき、そげなことなろうが!バカタレが!たいがいせぇよ?」


 怒鳴り散らす。


 その様子をすぐ隣で心配そうに見守る上司。

 話が終わり、電話を切ると、


「どーしたん?何があったん?」


 そりゃまぁ…聞かれるよね。

 隠すワケにもいかず、


「子供が事故ったらしいです。」


 正直に話すと、


「はぁ?大丈夫なんね?」


 モーレツに心配され、


「帰ったが良いっちゃないとね?」


 と、薦められてしまう始末。

 しかし、本人や同乗者にケガは無い。

 今から迎えに行くにしてもここは北九州のいちばん端っこ。福岡県を完全に横断するカタチになる。しかも全然知らない場所。交通状況なんか一切分からないから、到着するのにどれくらい時間かかるかも分からない。というか、迎えは友達に頼んでいて既に向かっているとのことなので、今から自分が向かうより圧倒的に早く着く。

 帰ってみたところで自分の出番は無い。

 早退はせず、仕事に復帰しましたとさ。めでたしめでたし。


 じゃねーよ!入社してまだ二カ月そこそこの新人なのに、いきなし上司心配させてどーすんの?マジ体裁悪いし。


 と、暗ぁ~い気分になるのでした。


 でもまぁ。


 パジェロミニが廃車になっただけで済んでよかったよ。


 と思うと共に、イヤでも最悪の事態を考えてしまうよね。


 只今絶賛反抗期中。

 親の言うことは聞かず、夜中に遊びまわる日々。

 母親がいるのであれば悪役に徹し、厳しく注意することもできるのだろうけど、片親であるが故に嫌われるのが怖く、どーしても大切な場面で甘さが出てしまう。


 あ~あ、情けない。こんなんだから、ナメられるのよね。


 ホ・ン・ト、ダメダメなヲヤヂなのですよ。

 今後もこういった類の心配、いっぱいさせられるっちゃろーね、っち思うとマジで気が重いよ。


 とゆーワケで、26話「事故」はこのタイミングなのでした。



 な~んてこともあって精神的にマイッたり、台風だったり、雨だったり、三交代の疲れで昼寝しちまったりで、全然釣りに行けてなかったのよね。

 んで、およそ一カ月半の時を経てやっとのことで釣れた今回。


 まずはタックル編から参りますよ!


 いつもならサオとリールの紹介に移ってゆくのですが、今回活躍したのは


 ファンタジスタYABAI FNC-69MH TORQUE CORE SHAFT+リョウガ1016H。


 ここんとこなかなかの活躍っぷりを見せてくれており、直近での出演は62話。

 そんなに経ってないからやりませ~ん。


 こんな時はルアーを紹介するのだよ。

 活躍してくれたのはZBCのマグナムリザード8インチ。デカいので、かなり活躍の場を選ぶルアーでございます。

 スペック…とゆーか、詳細は


 サイズ:8インチ

 入り数:9本

 価格:1045円


 といった感じだよん。


「LINEショッピング」の説明によると

『カーリーテールのリザードワーム。テキサスでのズル引き、リフトアンドフォールに最適です。』

 っつーことらしく、

「プロショップナイル」の通販サイトによると、

『これもまた琵琶湖のローカルでプチ流行中のワームです。春先にはよく聞く名前ですが、実は年中良く釣れますよ!

 季節柄、今流行っているのは「※マキマキ」にこのワームを 使うことです。リザードをマキマキに使うのは私もあまり聞いたことが 無かったのですが、琵琶湖では結構普通??みたいです。

 釣果は、数も釣れるしサイズも結構でかいのが釣れるし 言うことなしのようです。跳ねラバも少し落ち着いた感があり、これからはリザードの マキマキで決まり!となればいいのですが……』

 っつーことらしいです。


 ※)テキサスリグのスイミング=底は取らず、プラグ引くみたいにグリグリ巻く釣り方。


 なんか、ZBCのホームページっつーのが無いんよな。多分、探しきらんだけやろーけど。

 なので、抜粋はこれくらいにしときましょうかね。


 使ってみた感想はと言いますと。

 割と頑丈かな。ま、腕や足、尻尾は薄いから、投げる時草とかに当たると千切れたりするけどね。それでもちゃ~んと釣れるから、少し切れたくらいで捨てないよーに。

 使っている人が少ないから、結構よく釣れる。

 大きい魚を選んで釣ることができる。

 といった感じであり、これが長所になっとりますよん。

 短所はと言いますと。

 あまり売ってないことかな。リザードって最初のバスブームん時はかなりメジャーだったんだけど、今回のバスブームでは流行ってないのかなんなのか、売ってないのよね。

 ネットで見るといろんなサイズと色が存在しているとゆーのに、店に置いてあるのは8インチのグリーンパンプキンシードのみ。ホントはもっといろんなサイズや色、揃えたいのにな。

 こんな感じでタックル編は〆たいと思いま~す。


 続いて実釣編、参りますよ!


 本日はお休み。

 色んなことが重なってしばらく外に出られなかったのだけど、やっとのことで釣りに行くことができたのですよ。

 場所は前の川対岸。

 ちょうど草刈りが終ったタイミング。

 釣りやすいし、草が深い時には狙うことができないポイントが割と楽に狙える。


 ならば、行くしかないよね!


 とゆーワケで、使いたいタックルは既に仕事中に決めていた。

 それは、


 ファンタジスタYABAI FNC-69MH TORQUE CORE SHAFT+リョウガ1016H。


 今、いちばん熱いセット。


 早速サオ置き場から引っ張り出して準備。

 結んであるリグを見るとノーシンカー。

 今日はテキサスブン投げたい気分なので、一旦糸を切って10gバレットシンカーとビーズを糸に通し、ハリを結び直す。

 ワームはZBCマグナムリザードで、色はウォーターメロンシード。


 準備完了!


 バッグをπ/に掛け、徒歩で出発だ!


 まずは対岸の水門から始める。

 対岸に生える大きな木のオーバーハングを狙うけど、異状無し。


 数m刻みで上流方向へと移動しながら釣っていくことにする。

 いつもの折り返し地点である旧橋脚跡まで来たけど、ここまで一切反応なし。


 草刈ってあるし、もぉちょい上流まで行ってみるかな。


 一旦藪漕ぎして水際より離脱し、草の無いトコロに出る。

 上流に向かって歩いていると、如何にも「釣ってください!」と言わんばかりの広場が目につく。

 多分これ、草刈り機の転回場所。

 草の壁に穴を開け、水際に出ると護岸に沿って上流方向にフルキャスト。

 底を取って、チョンチョン跳ねさせながら引いてくる。

 しかし、ここでも異常無し。


 実績場なんにな。今日は魚、付いてないな。


 さらに数100m移動して、激熱ポイントである近所の水門の対岸まで到達。

 壁のようになったススキを踏み倒して穴を開け、水際に出る。そして扇形に狙うけど、全く異常無し。

 粘っても釣れそうにないから折り返すことにする。


 旧橋脚跡を過ぎ、石畳地帯の真ん中付近にて。

 先ほど狙ったポイント。

 石畳の先にあるリップラップを狙う。

 実績場でもあるため少し粘ってみることに。

 少しずつ角度を変えながら撃つこと数投。

 ほぼ真正面に投げ、底を取ってチョンチョンと跳ねさせながら引いてきていると、


 ゴッ…


 衝撃と共にルアーが動かなくなった。

 根掛かりともアタリともつかない感触。


 ん?


 念のため巻くのを止めてサオを立て、糸は張らず緩めずの状態で待つことに。

 すると、


 グッグッグ…


 ゆっくりとサオ先を絞り込んでゆく。

 ひと呼吸置いて、思いっきし後ろに仰け反るようにアワセると、


 キュ―――――ッ!


 糸鳴りを伴い沖に向かって一気に突っ走る。

 バットからブチ曲がるサオ。


 強い!


 サオを立て、強引にリールを巻く。

 すると横っ走りから徐々に重さが失われ、


 飛ぶ!


 思った直後、


 バシャバシャッ!


 ド派手なエラ洗い。

 まだ全然寄ってきてないからイマイチ大きさが分からないけど、小さくないことだけは分かった。

 さらにリールを巻く。

 突っ走ったりエラ洗いしたりして激しく抵抗しているけど、こんな時強いサオと極太トルクのリョウガだとなんとも頼もしい。


 伸される気がせんもんね!


 ゴリゴリ巻き続けてやっと足元。

 サオをさらに立てると、水面に顔を出す。


 やっぱし結構デカい!


 せーの!で抜き上げると、草むらの中に落ちて大暴れ。

 取り押さえ、下アゴを掴んで持ち上げると、頭でっかちでスリムなアフターの女の子。


 っち、エラ孔から血ぃ出ているじゃないのよ!


 モーレツに焦る。

 でも、ハリが掛かっているのは上アゴ。


 なんで?フツー、ここにハリ掛かっても出血せんのにな。


 不思議に思いながらも一安心。

 いつもの如く記念写真を撮り、サオの模様で大きさを測ったらそっと水に投げ込んで(足場が高い。ごめんね、魚)あげました。

 帰って測ると41cm!

 なかなかの40UPっぷりですな。



 ハリを結び直し、もう何度か同じ場所を通してみるけど流石に「二匹目のドジョウ」的展開にはならないらしい。


 少し下り、石畳が切れるトコロに差し掛かったので、端付近を重点的に狙っていると、またもや、


 ゴッ…


 先程と同じ、止まるような感触。

 魚かもしれないので、巻くのを止めて待つと、


 グッグッグッ…


 やっぱし!


 ゆっくりと持ってった!

 ひと呼吸待ってアワセると、重さが乗った直後一気に軽くなる。


 ヤバい!飛ぶ!


 必死こいてリールを巻き、テンションを一定に保つ。


 ガボッ!


 水面に上がる飛沫。

 姿は見えなかったけど、水柱の規模と音からかなりの大きさだと分かる。

 深場へと突っ込む魚。

 かなり強い。

 サオを立て、リールの巻きトルクにまかせ強引に寄せてくると、またもや重さが失われ、


 バシャバシャッ!


 エラ洗い。


 今度は見えた!やっぱデカいやん!


 直後、下流に向かって突っ走る。


 キュ―――――ッ!


 糸鳴り。

 巻くのを止めて突っ込みに耐える。

 突っ込みが止まりさらに巻くと足元まで寄ってきた。

 反転した時魚体が見える。


 さっきのより太いしデカい!


 サオを立てると水面に顔を出した。

 上アゴの左側にルアーが見える。

 一気に抜き上げるとぶっ飛んできた。

 地面で暴れる魚を取り押さえ、下アゴを掴んで持ち上げる。


 丸々肥えた、いい魚!


 これは…どっちだ?腹の形が自然なので♂?

 それともアフター回復系の女の子?

 まぁどっちだっちゃいーや。


 ハリを外し、手に持ったヴァージョンとサオと並べたヴァージョンの写真を何枚か撮ると、サオの模様で大きさを測り、そっと投げ込んであげました。

 帰って測ると45cm。

 またもや40UP!こーゆー場合、テレビは45UPっち言いよったな。




 この時点で結構な時間になっていたため、ワームを外して撤収することに。


 歩きながら、


 2本釣れた!


 改めて釣果を思い出し、ニヤけまくる。

 ここ三回ほどボーズが続いていたから嬉し過ぎる釣果でありまする。



 只今稲刈り真っ盛りであるウチらの地域。

 これが終わると田んぼは来年までお休み。あと一カ月もすれば水門が開いて水位が下がるため、このポイントじゃ今日みたいな釣りはできなくなる。

 その日が来るまで、通い詰めてみることにしよう。


 今年はここであと何本釣れるかな?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る