第23話 オールドタックルで遊ぼう!

 ヒマやし。

 チ●ポでも弄…じゃなくて、釣具でも弄るかな。


 思いついたら即実行!なのでございます。


 どれ弄ろっかな。


 今の気分に合ったヤツ引っ張りだすため、釣具置場へと視線を移せば、目についたオレンジ色。


 あ…ジェットキャスト。


 存在を認識するとともに溢れてくる弄りたい欲。

 ということで、本日はコレを愛でることに決定。


 ここで。

「ジェットキャスト」だけじゃ何のことかイマイチわかりにくいから、ちゃんと紹介。


 ジェットキャスト56ML。


 40年ほど前のダイワ製ベイトロッドでございます。


 スペックは、

 全長:5.6フィート

 自重:210g

 アクション:ML

 キャストウェイト:12~21g

 継数:2

 グラス100%

 と、こんな感じ。


 5.6フィートとゆー長さ。

 210gとゆー重さ。

 グラス100%。

 ガイドの数が5個(勿論SiCリングなんか入っちゃいねぇ)。

 シングルハンドグリップ(ガングリップともいう)。

 これらの個性達がもぉ!

 なんともいえぬ昔感を醸し出しておりまする。

 とはいえ、希少価値はないみたい。検索したらかなりの数、ヒットするもんね。

 値段は5000円前後の品が多いよ。


 振ってみると、とにかく柔らかい。どれくらい柔らかいのかというと、バットの部分からグネグネ曲がるほど。

 この柔らかさこそが、グラスロッドの最も大きな特徴。とはいえ、ただ柔いだけじゃないのよ。柔らかさの中には粘りがあって、寄せる力が強いとゆー長所になるのでございます。


 短所は重いコト。

 所有する中でいちばんゴツくて重いブラックレーベル7112XHRBの自重が190gっつーコトを考えると…どれくらいのモンかわかるよね。

 あと、感度が鈍いのも短所かな。


 でも、これらの短所って、実はそこまで致命的じゃなかったりする。

 まずは重さに関してだけど、数値の割に軽く感じるのよね。片手で無理せずにキャストし続けられる、と言ったら想像しやすいかな。これ、なんでかとゆーと、グリップ短いからなのよ。短いと重量物、全部手元に集中するもんね。そのため持ち重りが軽減され、軽く感じるんじゃないんかな?とか考えてみたりした。

 参考までに、ブラックレーベル7112XHRBは、とてもじゃないけど片手でキャストなんかできません。


 次に感度。

 柔らかいとはいっても、アタリが取れないほどじゃない。昔はこれでワームやっていたんだよ。



 グラスの特徴である柔らかさって、巻き物に適した柔らかさなのよね。

 強過ぎない反発力でウマいコト突進をやり過ごしてくれから、懐狭くてバレやすいトレブルフックでも外れにくい。なおかつ粘り強いから寄せやすいという、もうホントいいことばっか。巻き物にはもってこい!なんだけど…今、100%グラスのサオってほとんど見かけない。何故かというと、重いから。

 とはいうものの、あの重さでも全然問題なかったんだけどね~。

 人間が贅沢になったのかな?

 技術の進歩でカーボン安くなったというのも大きいだろうしね。

 今では、グラスの柔らかさを再現するのに、カーボン素材中のガラス繊維を増やす方法を取っている。

 バーサタイルとか撃ちのサオでは、カーボン含有率が90数~100%なのに対し、巻きのサオでは、40数%~。

 カタログには含有率表示してあるから、ある程度柔らかさの想像がつくよ。


 最後に、全長についてだけど、5.6フィートって長さ、結構気になる人いるんじゃないのかな?

 今じゃ、フローター(釣り用の浮き輪)用かトラウト用ぐらいしか、この長さの見ないもんね。

 パッと見、短くて飛ばないように感じるだろうけど、それが違うのよ。

 グリップが短いから、ブランクスの長さ、多分現行モデルの6フィートと同じくらいある。だから、思った以上に遠投が効くよ。


 サオについてはこんな感じかな。



 で、リール。

 シングルハンドグリップに似合うのは、やっぱ古いヤツ。

 所有しているモノで丸型ならミリオネアGS3000、GS3000C、ABUのアンバサダー2500Cなんかがいい感じ。

 ロープロはダイワならファントムシリーズ。シマノならバンタム。

 あと、ハイキャストやスピンキャストなんかのクローズドもよく似合う。

 とにかく古い機種ならメーカー問わず、何でも似合うと思う。ま、最新モデルでも、それはそれで味があってカッコイイけどね。


 とゆーワケで、セットして愛でる。

 最初に装着してみたのは丸型。

 ミリオネアGS3000&GS3000C。

 と、ここで、スペック見っけたので載せとくね。


 GS3000は

 ギヤ比:4.2

 最大巻き上げ速度:38cm

 自重:220g

 スプール寸法:径×幅=34×23

 釣力A(ドラグ耐力):4kg ←今でいうドラグ力、ね

   B(破壊耐力) :6kg ←完全にロックしてぶっ壊れる重さ

 糸巻量:2号-250m、3号-170m、4号-120m、5号-95m

 ボールベアリング入数:2 

 ボディ色:黒


 GS3000Cは

 ギヤ比:4.5

 自重:230g

 スプール寸法:径×幅=34×23

 釣力A:4kg

   B:6kg

 糸巻量:2号-250m、3号-170m、4号-120m、5号-95m

 ボールベアリング入数:2

 ボディ色:黒


 この二つ、モデルチェンジの前と後。パッと見、全く同じものに見えるかな。でも、どちらもマジでカッコイイ!

 こいつ等使ってみたいんやけどな~。両方とも厳しいクオリティなんよな~。

 GS3000はスプールベアリングが良くなくて、納得がいく飛距離が出ない。

 GS3000Cは飛ぶけどストッパーがダメ。ここが悪いと思わぬタイミングで逆転しやがるから、もしも万が一掛かった場合、バラす確率高くなる。

 といった理由で、丸型は眺めて楽しむだけ。

 あ~、カッコよかった。


 満足したので、次はロープロ。

 ファントムSM-10。

 スペック見っけたので載せときますね。

 ギア比:4.7

 自重:215g

 釣力A:4kg

   B:8kg

 糸巻量:10lb-125yds、12lb-95yds ←当時のポンド数で10lb=3.5号、12lb=4号。今は10lb=2.5号、12lb=3号

 ボールベアリング入数:2

 価格11000円


 プッシュ式オートクラッチ。ボールベアリング2個搭載。

 ボディー色は黒。ハンドルノブが木製で高級感があるよ。とゆーか、今でいうスティーズぐらいの機種だから、実際に高級品だったんだけどね。だから、スプールベアリングは両方ともボールベアリング。

 ハンドル回すとゴトゴト音がしやがるので、ギヤボックス分解してみると原因判明。それは何かとゆーと。クラッチから連動しているパーツが一部、ラチェットと干渉しているのよね。メインで使えるし、飛距離も出るけど、このまま使い続けたら、この部分は間違いなく摩耗するので使用は諦めた。

 古い機械はどうしてもこんなこと起こるんよね~。


 最後はファントムST-10。

 これもスペックあったので、載せときます。

 ギア比1:4.7

 自重:215g

 釣力A:4kg

   B:8kg 

 自重235g

 糸巻量:10lb-125yds、12lb-95yds

 カーボンベアリング入数:2

 価格6700円


 カタチはSM-10と全く同じだけど、ボディーの色が銀。これがなんともクールなのよ。ハンドルノブは、樹脂製で黒。ベアリングもカーボン(って表現するとカッコいいけど、タダのプラスチックの輪っか)。ファントムシリーズの最もベーシックなタイプでございます。

 小中学生の頃、これ使ってる友達多かったな。

 セットしてみると、ミリオネアとはまた違ったカッコ良さがあるのよね~。

 このリール、買ったとき既にボールベアリングへと交換してあったから、回転性能は抜群。ここが変更されると実質SMやもんね。

 機械的にいちばんダメージが少ないっぽいので、フツーにメインとして使えそう。なので、今回コイツに頑張っていただくことにしたのでありました。




 では実釣編、参ります。

 本日のタックルは以下のとおり。

 ジェットキャスト56ML+ファントムST-10。糸はナイロン14ポンド。

 タトゥーラエリートTAEL731HFB+リョウガ2020。糸はフロロ20ポンド。←この日、これでも釣ったから次の話で書く予定。

 あとは、クローズドかスピニングかベイトフィネス持ってっとったはずやが、思い出せん。


 場所はゴムの場所下流の消波ブロック帯。

 通常なら釣り場に着くと、スピニングやベイトフィネスなどの弱い釣りから始めるけど、今回は巻きから。ジェットキャスト56ML+ファントムST-10を使用する。

 ルアーはプラグ。ワイルドハンチのブルーバックチャートをチョイス。

 で、記念すべき一投目(という訳でもない。買った当初、メンテ後何回か撃ちで使った)。

 クラッチを左手親指で切り(オートクラッチなので、投げるときは両手が必要)、バックスイングからのぉ~…ビュッ!

 振り抜くと、


 ヴ―――――ン…


 うぉ~~~!でったん飛んだぁ―――っ!!


 それはもう、嬉しくなるほどにね。

 これだけ飛ぶんなら最新式のリールやらいらんよ、マジで。

 という訳にもいかないんだけどね、実際。

 かなりのご老体だからオーバーホールできないし、ぶっ壊れたら、メーカーは修理受け付けてくれない。

 そんなメンテナンス事情はひとまず置いといて。


 しばらく投げ続けるけど、イマイチ反応がない。


 アピール強過ぎかもね。


 と考え、ラッキークラフトのフラッシュミノー80SPにチェンジ。


 5gちょいしかないけど、はたして飛んでくれるかな?


 ダメモトで投げてみると、これまたフツーに気持ちよく飛んでいく!


 今のリールみたいにスプール肉抜きなんかしてないのに。

 ジュラルミンとかの軽い素材でもないのに。

 それなのにこの飛距離って…マジ、感動モンなんですけど!


 ハンドルを回してクラッチをつなぐ。

 リトリーブ開始。

 摩擦で作動するストッパーのガクガクってタイムラグがいかにも昔っぽい!

 サオが短いからトゥイッチがやりやすい!


 消波ブロック上でチョンチョンやっていたら、


 ゴン!


 衝撃とともに引っ手繰られた!

 反射的にアワセると、生命感。

 ほぼ足元で食ってきたので、ファイトも何もあったもんじゃない。

 そのまま抜き上げることに。

 上がってきたのは20cmぐらいのカワイ子ちゃん。

 この子、長さはないけど太くてカッコイイ!

 傷の無いキレイな魚体。


 よ~く考えてみたらこのリール、今日魂こもったんやん!ま、前の持ち主がこめたかもしれんっちゃけど、自分が持ち主になってからは初めて、とゆーことで、ね。


 オールドタックルで釣れた。しかも初フィッシュだから、最新式のタックルで釣ったのとはまた違った嬉しさがある。

 嬉し過ぎて、いつもより多めに記念撮影しましたよ!


 それから、さらに数分後。

 同じルアー&同じ誘い方で、


 ゴン!


 また食ってくれた!

 今度は岸から少し離れたトコロで食ってきたので、暴れる余地あり。

 重量感はそんなにないけど、よく引く。

 ギヤ比が低い(4.7:1。でも、当時はハイスピード。レフトサイドプレートに誇らしげに書いてある)からゴリ巻きできる。

 サオの弾力が上手いコト突進をかわす。

 一気に寄せて…抜き上げた。

 サイズアップ!

 指を広げて測るとだいたい25cmぐらい。

 これまた傷が無くて、キレイな魚。

 サオと並べて大量に記念撮影し、そっと逃がしてあげましたとさ。


 40年近く前のタックルが大活躍って…ホ・ン・ト、嬉し過ぎ!


 現行型リールとほぼ変わらない飛距離を叩きだしてくれて、なおかつ釣れるとか、楽しい以外の何物でもないよね!


 また、そのうち気が向いたら使ってみよう。


 そう思った釣行なのでした。

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