第19話 バラシ癖😭

【バラシ】

 一度ハリに掛かった魚が外れ、逃げてしまうこと。

 原因は、フッキングが浅かったり、エラ洗いされたり、竿さばきがうまくいかなかったり。根ズレなどによって糸が切れ、取り逃がすこともバラシという。

 負け惜しみでナチュラルリリースともいう。

 ―――釣り用語集より引用―――


 釣り人にとって、これほど悔しいコトはないですよね。


 今回は、その中でもさらによろしくない、「バラシ癖」についてのお話。

「癖」というくらいだから、1本じゃ済まないのよ。

 どのくらいやらかしたかというと、ここ数回の釣行で立て続けに3本!しかも、こいつ等全部なかなかの魚。

 今でもそれぞれの瞬間が鮮明に甦ってきやがる。


 あ~~~もぅ!


 とゆーワケで。

 この「癖」によって去っていった3本の魚達について、熱く語るとしましょうかね。

 読んでくださった方々に、悔しさが伝わるといいな。


 では、まいります。


 まずは一本目。


 ベイトフィネスでプチッ!


 タックルは、エアエッジ681MLB+REVO LTX。糸はフロロ8ポンド。ルアーはネコストレート5インチ。色はスカッパノン。リグはネコリグ

 場所はゴムの場所下流の消波ブロック帯。

 参考までにコレ、10話に出てきたバラシね。


 着いてすぐ、ノーシンカー投げ倒すんだけど、これじゃない感が漂う。

 で、思いついたのがネコリグ。


 このリグ、ちょい前までかなりいい思いしていたんだけど、今では釣果が出なくて廃れ気味(自分の中でね)なのよね。最後に釣ってから、既に3年ぐらい経つんじゃなかろうか。

 注)厳密には12話などで結果出しているけど、全てヘビーネコ。普通ネコリグといったらフィネスのコトなので、一緒にするべきじゃないと思い、あえてカウントしなかった。

 ここまで釣れなくなっちまったのは、自分を含め使う人間が多過ぎたため、見破られたからじゃないかと思う。

 一方で、こんだけ釣れない期間が続くと、もうみんなやらなくなったのでは?とゆー考えも浮かんでくるワケで。で、それがホントならば、MAXだった警戒心もかなり薄れ、食ってくれる可能性だってある。


 気になったのなら実行するしかないじゃない。

 すぐに、オフセットフックからウィードレスマスバリへとチェンジ。

 ネコストレート5インチをワッキーチューブ(材質はシリコンゴムとか熱収縮性の樹脂とか。メーカーにより名前が違う。直にハリを刺すと、リグの特性上ワームが切れやすくなり、無くす確率上がりまくる。それを予防するためのアイテム)に通し、タングステンネイルシンカー1.3gを装着すると準備完了。


 久々に投げるネコは、なんかミョーに新鮮な感じ。

 ヒョウ…と独特な風切音を発し飛んでゆく。


 リグをチェンジして頑張ることしばし。

 泥底から、消波ブロックへと変化する辺り。

 サオを少し立て気味にし、ブロックの表面をついばむ小魚を演出していると。


 コツン!


 待望のアタリ。

 久々過ぎて、なんだか嬉しくなってしまう。

 操作を止めるとすぐに、


 グッグッグ…


 重々しくサオ先が絞り込まれた。

 後へ仰け反るようにアワセを入れると結構な重量感。


 おっしゃ!のった!!


 一気に突っ走る。

 サオを立て、弾力を利用して耐える。

 最初の突っ込みはどうにかやり過ごせた。

 が、思うようにリールを…巻けない。


 ウソ…でったんデケー!サオ、完全に伸されちまっているじゃないの。


 さらに走りだし、


 ガリッガリッ…!


 とってもヤな感触が、サオに伝わってくる。


 ヤベッ! 消波ブロックに糸、当たりよぉやん!


 ピンチを理解すると同時に、


 プチッ!


 消えた生命感。


 マジで~?


 アタマん中真っ白。

 しばし呆然と立ち尽くした後、我に返ると、


 …は~~~~~。


 しゃがみ込んで特大のため息。

 身体が震えている。

 頭の中で、


 コツッと来て、アワセて、必死こいてリール巻いて、ゴリッとして、プチッ!


 バラすまでのシーンが鮮明に再生されている。しかも何回も何回も。


 あ゛~!デカかったぁ~…。

 もう一つ太い糸巻いとけばよかった。

 っちゆーか、普通のベイトにしとけばよかった。


 後悔しかない。

 すぐには立ち直れそうにない。


 ネコが効くのはわかったから、結び直して再度やってみればよいのだろうけど、このバラシで心がボキボキに折れた。

 繊細な操作やれるような気分じゃない。


 さ~て、どーしたもんかな…何引くかな~…。


 そして僕は途方に暮れるby大沢誉志幸

 途方に暮れた末、思いついたのが巻き。


 我武者羅にプラグ巻き倒して、今のバラシをなかったことにしたい。


 そんな気持ちでやり始めたんだけど、なんとこれが!

 大成功。

 結構デカいの釣れたから、なんとかもち直したとゆーね。


 釣れてくれたのはホントに嬉しい。

 でも、それはそれ。


 あ~あ、どげな魚か見たかったよな~。そして、ハリ、口に掛かったまんまよね?ゴメンね、魚…。


 これに懲りて、REVOは10ポンドフロロに巻き換えましたとさ。




 続いて二本目。


 フィネスでプチッ!


 タックルは、レサト1621FF+スピンキャスト80。糸はナイロン6ポンド。ルアーは4インチグラブ。色は赤。リグはノーシンカー。


 レサトってかなり昔のサオだから、カタログより抜粋のカッキー説明や詳細は無しの方向で。見っけきらん(=×。見っけるの面倒っちぃ=○)のよ。

 当時のシマノのバスロッドの中じゃ、かなりの上位機種だったはず。たしか、スコーピオンシャウラが最上位機種で、そのすぐ下とかじゃなかったかな?違ってたらすんまっしぇん。


 悔しい思いをした次の週末。

 昼飯食ってちょびっと休憩した後、タックル(このときの他のタックル、何使ったか忘れた…ん~いー加減)積みこんで前回と同じ場所へGO!


 対岸にもこちら岸にも釣り人がいて、いかにもなプレッシャーの中、釣り開始。

 最初に選んだのは、クローズドフェイス。

 このタックルは、あんまし軽いルアー使うと、糸にテンションが掛からなくて激しくヨレる。ライントラブルの原因になるから、ちょい重目のルアー。といった理由で選んだのが、ゲーリーヤマモトの超名作、4インチグラブ。色は赤で、リグはノーシンカー。

 狙うのは上流方向。岸と平行に入った消波ブロックの上っ面。


 カチン!


 クラッチを切ってバックスイング。

 そして、振り切ると


 キュフィ――――――ン…ポチャ。


 いー感じでぶっ飛んだ。

 抜けたような感覚がでったん気持ちいー!


 気持ちよさに浸りつつ、しばらく頑張っていると、モヤッと重くなる。


 ん?ゴミでも拾ったかな?


 最初はホントそんな感じだった。が、さらに巻くと、寄ってくるはずの軌道から逸れてきだす。

 そして、それは生命感に変わった!


 はぁ?食っちょったん?


 予想外の展開。

 しかも強い!

 必死こいてリール巻くけど、あまりの強さにドラグ滑りっぱなし。

 急いでフルロックしたけど、それでも止まらない。

 このまま巻き続けるしかなさそう。

 一向に寄ってくる気配のない魚にある種の恐怖を覚える。

 そして、


 えーくそ!こんなことになるんなら、ベイトにしとけばよかった。


 前回と全く同じ後悔。

 あざ笑うかの如くエラ洗い。

 姿が見えた。


 なんかこれ!でったんデカいやんか!


 で…案の定ブロックの隙間へと潜られる。

 ガリッガリッ…と、ヤな感触が伝わってくる。


 これ、取れんっちゃないと?


 思った瞬間、


 プチッ!


 もぉ~~~~っ!先週に引き続き、何なん?


 マジ、立ち直れません。




 悲しみはまだまだ続く。

 さらに、三本目。


 プラグでポロッ!


 タックルは、ブレイゾン661MB+T3 1016 SH TW。糸はナイロン14ポンド。ルアーはフラッシュミノー80SP。色はワカサギ。

 場所は、近所の水門の流れ込み(「巻き」でもちょいちょい出てくる)。

 ちょっと前、トップで頑張ったけど異状無し(17話参照)だったので、悔しかったから再挑戦。まあまあ本気なので巻きメインだけど、ワームも数種類持ってきておりまする。


 一投目。

 落ち込みに、3インチファットヤマセンコーのノーシンカーをブチ込むけど異常無し。

 万遍なく探ってはみるものの、何をしても無反応。


 ここにはいない。それならば!


 本流狙いにシフトする。

 この前トップでは無反応だったから、今回は少し潜るヤツ。

 選んだのはラッキークラフトのフラッシュミノー80SP。

 ただ巻きすればヨロヨロと弱った小魚を演出し、トゥイッチを入れると結構な幅でダートする。かなり泳ぎ上手なプラグなんよね。だから実績もあって、割と出番が多かったりする。


 セットし、本流での一投目。


 5.3gしかないのに&逆風なのに、なかなか飛ぶじゃないのよ!


 これがTWSの効果なんかな?と、勝手に想像しながらちょっと感動。


 それから投げまくることしばし。

 トップでの実績が高い杭エリアにぶち込んで、巻いた瞬間、


 ゴッ!


 ハンドルが止まるほどの衝撃。


 ん?根掛かり?


 とは思いつつも、反射的にアワセていた。

 重さが乗っており、巻くと寄ってくる。


 とゆーことは魚?


 直後、


 バシャバシャッ!


 ド派手なエラ洗い。


 やっぱ魚やったんかい!


 特別大きいとは言えない(とはいえ30cmくらいありそう)けど、簡単には出ない貴重な巻きフィッシュ。

 組み替えて最初の魚が巻きとか嬉し過ぎる!

 とか、喜びに浸りつつ、ファイトを楽しむ。

 流れのせいなのか、大きさの割によく引く。

 サオとリールの相性がいいらしく、やり取りがすごく気持ちいい。

 まだまだ距離がある。


 早く顔が見たい。手に取って愛でたい。


 なんてこと考えていたら、水面付近で反転。

 その瞬間、なんと!


 ポロッ…


 生命感が無くなった!


 うっそ~ん…マジで?


 いくら不意打ちなヒットだったからとはいえ、アワセは中途半端じゃなかったはず。


 なら、なんでバレた?


 落ち込みつつルアーを回収。手に取って見てみると…


 ゑ~っ!


 思わず「わ行」の「え」になってしまうほどの驚き。

 フロントフックの一本が伸びやがっていらっしゃる。


 こんなん、注意しようないやんか。焼きが良くなかったんか?


 そして溜息。

 巻きフィッシュのバラしは精神的なダメージ大。

 その哀しさは撃ち以上なのよ。


 流石にこのあと巻きで釣れる気がしなかったから、ワームにチェンジして頑張る。が、全く異常無し。

 撤収することになりましたとさ。




 とまぁ、こんな感じ。

 あんまし得意じゃない釣り方でやらかしているところをみると、バラすべくしてバラした、とゆーコトなんでしょーな。


 いかがでしたでしょーか?

 悔しさ、伝わりました?

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