第6話 巻きで釣れた!

 なんて嬉しいんでしょ!

 巻きで釣れた!しかも今年初!!

 大きさは…ま、いーじゃないですか。

 大きさよりも、巻きで釣れたコトに意味があるのですよ!




 とゆーワケで、いつもの如くタックルの説明からまいりましょ。そーしましょ。


 まずはサオ。

 ブラックレーベルFM701MHFB。

 FMとはファーストムービングの頭文字で、巻き物用という意味。

 長さは7フィートで1ピース(一本もの)。

 アクションはMH(ミディアムヘビー)。

 テーパーはF(ファースト)。


 ここで。

 テーパーが「F」なので、撃つサオのようにガチガチなのを頭に浮かべるけど、PF=ピッチン&フリッピンやバーサタイルシリーズの「F」と振り比べてみると、一瞬で分るほど軟らかい。これ、巻き用のサオの大きな特徴で、懐が狭い三本イカリ針(トレブルフック)を外れにくくするための軟らかさ。あえてカーボンの含有率を下げ、ガラス繊維を増やして軟らかくしてある。

 参考までに、このサオのカーボン含有率は53%。PFやバーサタイルシリーズがだいたい90%以上なので、そのことから考えてもかなり低いよね。


 軟らかいからといって、抜き上げる力が無いかというと、そんなことは全然なくて、足場の高さ次第じゃ、冬場のパンパン50UPでも抜き上げられるくらいのバットパワーがありますよん。


 FMシリーズの中でも屈指の使用範囲の広さを誇り、投げれる重さは1/4~1・1/2オンス(通常1/4~3/4とかそんな感じ)。

 これ一本で、多分ほとんどのプラグは扱えるくらいの万能っぷり。

 オカッパリに於いて、サオを何本も持ち歩きたくない。巻きメインでちょっとだけ撃ちたい。そんな気分の時はこのサオが役に立つ。ノーシンカーやネコリグも平気でこなす高性能なのですよ。やったことはないけど、テキサスやキャロなんかもできるんじゃないかな?


 とまあ、いいこと尽くしのサオなんだけど、気になるトコロもないワケじゃない。

 それは…。

 スピナーベイトを使うとバレやすい。

 これまでに結構な本数バラした気がする。

 なんでバレるのか考えてみた。

 多分、これは軟らかさのせい。スピナーベイトはプラグに比べてハリの軸が太いから、刺さりにくい。いくらファーストテーパーでバットパワーが強いとはいえ、瞬間的な力はPFと比べると弱いから、刺さりが浅くバラす。という理由なのかもしれません。




 次にリール。

 T3 SV 6.3R-TW。

 T3は、ザイオンというカーボン繊維含有プラスチックでできたリール。

 SVとはストレスフリーバーサタイルの略。ブレーキシステムはエアブレーキ(名前に「AIR」と付く機種に搭載されており、軽いルアーが扱いやすい)だけど、スプールは肉抜きされていないからAIRよりも頑丈なので、太い糸を巻くことができる。よって、使用範囲が現時点では一番広く、フィネスに近いものからビッグベイトみたいな重いものまで扱うことができるといった特徴があるよ。

 ギア比6.3。

 Rは右巻き。

 TWはTWS(Tウィングシステム)搭載機。


 軽量高強度とマグフォース3D、TWS(Tウィングシステム=キャスティング時の放出抵抗を低減するレベルワインド)が売りで、ノーマルT3がデビューしてすぐにMXという廉価版と、SVという、さらに高性能バージョン、AIRというフィネス専用機のフラッグシップが登場した…のだけど、今ではT3はAIRのみ残り、あとは絶版。

 軽量高強度なはずなのに、ボディ剛性の低さが災いして、あっという間に消えてしまったという可哀そうなモデルなのですよ。

 T3が無くなってしまった今、メタルフレームのタトゥーラやスティーズ、ジリオンといったリールが、TWSⅡ搭載モデルとしてロープロファイルリールの結構な部分を受け持っているといった感じ。

 T3使っている人間としては、なんか悲しいよね。ま、たしかにボディ剛性は低いけど、壊れるといったことはないよ。大きいの釣った時、フレームが歪んでハンドルが回らなくなったことがあったけど、一回クラッチを切って巻き直したら普通に使えるようになったし。そこはやっぱ、プラスチックの弾性のおかげかな。

 自分としては、そんなことよりも、メリットがいっぱいある良いリール、といったイメージ。

 先ず第一に、マグフォース3D。

 コレ、でったん出来が良くて、バックラッシュしにくくてよく飛ぶ。特にベイト初心者が入門する時これ使ったら、他のリール使うよりも早くベイトに馴染めるんじゃないかと思ったりする。

 そしてTWS。

 キャスティング時、クラッチを切ると、上部ウィングというクラッチと一体化したパーツ(通称パカパカ)が口を開けたように開き、糸の放出抵抗が減るという仕組み。

 このパーツを押さえることで、クラッチがオンになり、すぐに巻き取りはじめることができる。どちらの手でもクラッチがオンにできるというお利口さん。

 んでもって、プラスチックのボディ。

 これ、冬の釣りで大変重宝する。

 金属だとキンキンに冷えきって、握りこみたくなくなって心が折れたりするけど、T3は触ると温い感じがする。アルミとプラスチックの熱伝導率の違いがこんなトコに現れてくる。勿論、プラスチックだから軽い。


 欠点は、上に書いた通り、ボディ剛性が低いコト。

 おっきいの釣ってハンドル回らなくなるし。とはいえこれ、ノーマルT3のことで、SVでは改善されている…ものと思いたい。せめてフレームだけでもアルミで作っていたとしたら、もっと長いこと存在出来ていたんじゃないんかな?とか、勝手に思ったりしてみた。

 あと、T3のTWSは糸を拾いにくい。リトリーブに移るとき、指で溝に入れてあげないと拾わないことがある。でも、これもノーマルT3のハナシ。T3 SVでは大幅に改善されているようで、ほぼ確実に糸を拾う。多分、ほとんど問題無いと思う。




 で、実釣編。

 選んだ場所は、ゴムの場所下流1kmほどのところ。

 まずは土手のスロープを下りた真正面を狙う。ここは岸から数mのところに消波ブロックが沈めてあり3~4m幅で数100m続くポイント。ルアーはラトルインワイルドハンチ黒金。今年一発目、巻きでデカいのバラした場所&ルアーでもあるのですよ。

 しばらく移動しながら撃つも異常無し。


 200mほど上流の、実績場に移動。ここでも最初は巻き。

 ルアーはカブア黒金をチョイス。

 カブアはクオンのクランクベイト。カバークランクと呼ばれる障害物に引っ掛かりにくいタイプ。普通のクランクとの違いはアイ(スプリットリングを掛けるボディ側の輪っか)が90°横向きなトコロ。こうすることにより引っ掛かりにくくなるらしい。「カブア」という名前はカバークランクからきていると、プロの誰かが言っていた気がする。

 泳ぎはプリプリとケツを振ってよく泳ぐ。一般的なクランクよりもケツを振るスピードが速いと思う。水押しも強く、巻き抵抗が結構ある。といった感じ。


 下流方向に投げ、消波ブロックにヒットさせながら引いてくる。

 10投ぐらいしただろうか?

 「くるならココ!」と、予想していたテトラの角に当て、バランスを崩した瞬間、「ゴッ!」と衝撃。


 ん?もしかして食った?


 反射的にアワせると、ルアーの振動が無くなり、ビミョーな重量感。


 何?ゴミ?


 さらに巻くと、反転して銀色が見える。


 やっぱ魚やん!


 巻くと呆気なく寄ってくる。

 抜き上げると…20cmほどのバス。

 小さいけど、巻きで釣れた!!

 今年初の巻きフィッシュじゃ~あ~りませんか。

 あまりの嬉しさ。

 いつもより多めに記念撮影して逃がしてあげましたとさ。


 パターンかもしれないと思い、プラグをローテーションしながら巻き倒してみたのだけど、この後は沈黙。

 日も暮れてきたので撤収となったのでした。


 おしまい。

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