第7話 改造?修理?なんかそげな感じ。

 先々月から先月にかけて、リールのスプールベアリングを交換。

 その数、なんと五台!

 重なるときは重なるもんですなぁ。



 スプールベアリングとは、ベイトリールの中でも特に重要なパーツでして。

 スプールシャフトの両端を支えているため、キャスト時の高速回転やファイト時の負荷に常に曝されておりまして。そのため、構成されるパーツの中でもいちばんの消耗品といえるよね。

 


 最初に交換したのはSS AIR。

 去年の秋頃、巻いているとガシガシという音がし始めた。

 症状が出始めた初期の段階では音も小さく、使用感もさほど変わらなかったため、そのまま使い続けることにしたんだけど、今年に入ってからは常に音がしっ放し。ただ、使用感も飛距離も変わらなかったから、このまま誤魔化しながら使い続けるのもあり?とか考えたのだけど…繊細な釣りをするリールなので、ふとした時に音が気になる。気になりだすと、どうにも集中できない。集中できないと、ボーズも増える。

 やっぱ交換することにしよう。


 とゆーワケで、作業開始。

 この機種は、軽いものを扱いやすくするため、普通のベイトリールよりかなり小さいサイズのスプールベアリング(マイクロベアリングという)が採用してある。そこに同等の負荷がかかるから、相対的に大きな力を受けてしまうことになる。同じ材質で小さな部品となってくると、どうしても通常のよりは耐久性が落ちてしまうワケで。交換の頻度が高くなるのも頷ける。なので、いつぶっ壊れてもいいように、予備のベアリングを買っておいたのよ。

 これ買うとき、気分を変えて社外品のセラミックベアリングにしようかとも考えたけど、あからさまに性能が落ちてしまうみたい。純正の性能がいちばんいいとのことだったので、SLP(スポーツライフプラネッツ=ダイワのアフターサービス部門が独立してできた会社)WORKSのヤツを購入。これならば純正と見なしてもらえるので、別のところがぶっ壊れても修理に出せる(←社外品をつけている場合、修理やオーバーホールしてもらえない)。


 作業に取り掛かる前に最終確認。

 もしも万が一、異音の発生源がスプールベアリングではなくて、ギアボックスだったならば、メーカー送りとなり、オーバーホール。

 レフトサイドプレートを外し、スプールを外し、ギアボックスのみの状態でハンドルを回して確かめる。

 結果は…

 静かなモンだ。

 試しにもう一度組んでハンドルを回すと音が出る。

 やっぱし原因はスプールベアリング。


 確定したので早速作業へと移る。

 SS AIRのフレームおよびマグ側のプレートは、アルファスや初代スティーズなどと形状がほぼ同じ。だから、スプールベアリングが納まる穴は普通のサイズ。そのままだと隙間ができてしまうため、カラーと呼ばれるベアリングのホルダーを使い、元のベアリングと同じ径にして固定する、といった仕組み。


 まずは、マグダイヤル側であるレフトサイドプレート(左巻きの場合はライトサイドプレート)から。

 カラーを固定してあるスプリングを外し、取り出す。

 ベアリングを押さえてあるスプリングを外すと、カラーとベアリングが分離できるようになる。

 古いベアリングを取り外し、新品と交換。

 スプリングでベアリングを固定。

 レフトサイドプレートにカラーを挿入。

 スプリングで固定すると、はい!できあがり!!


 次は、スプールに組まれた右側(左巻きの場合は左側)のベアリング。

 まずはスプールシャフトのピンを抜く。

 ピンはシャフトに開けられた穴へ圧入してある。構造は単純なのだが、かなりきつく固定されているので、ベアリングリムーバーという専用の治具を使う。使わなくても外せるけど、ペンチやプライヤーでこねくり回すため、ピンやスプール、スプールシャフトを変形させてしまう可能性がある。そうなると、最悪、リール自体が使えなくなり、修理に出す羽目になり、高額な修理代を払うことになってしまう。

 ここは横着せずに治具を使いまっしょい。


 リムーバーの、ピンを押し出すネジを緩める方に回し、隙間を空けてリムーバー本体の穴にスプールシャフトを入れる。

 ネジ側の隙間に「押し出しバー」と呼ばれる直方体の金属片の平らな方を入れ、ネジを締め、ピンを押し出す。

 ピンがシャフトのツラまで引っ込んだら一旦ネジを緩め、押し出しバーを抜いて、突起の付いた方に向きを変え、その突起がツライチになったピンのアタマに当たるよう調整する。

 位置が決まったら、ゆっくりとねじを締め、ピンをさらに押し出していく。

 突起が穴に入り、押し出しバーとシャフトの隙間が無くなったらネジを緩める。

 ペンチやプライヤーなどで押し出されたピンを挟み、引き抜くと、シャフトからカラーが外れる。

 カラーの仕組みは左側(右側)と全く同じなので、作業は同じ。

 組み上がり、ピンを挿入し、ベアリングに適量注油すると、はい!完成!!

 ここまでの作業時間はだいたい30分ぐらい。


 試しに糸を引っ張ってみる。

 音はしない。

 巻いてみる。

 音はしない。


 う~ん!いー感じ。




 二台目は、所有する中で唯一のシマノ機、カルカッタコンクエスト100。

 使っているうちに金属音がしだし、キャスト後半の伸びがなくなってくる。

 この現象に気付いたのは2~3年前かな?

 気付いた当初は音がするだけだったので、オイルを注しながら使っていたんだけど、去年あたりから音が大きくなり、極端に失速するようになってきた。

 釣具屋に行ったついでに店員にそのことを話すと「恐らくそれ、スプールベアリング焼けてますよ。自分のカルコンもなりましたもん。」だって。

 店員に在庫はあるか聞いてみると「ある」という。しかも数種類。

 流石、人気のシマノ製!

 その場で購入決定。

 選んだのはヘッジホッグスタジオのセラミックベアリング。


 ソッコー帰って作業開始。

 まずは左から。

 レフトサイドプレートを開け、「本体枠B受け組」と呼ばれるパーツを外す。

 スプールも右側やるとき邪魔になるので外す。

 B受けの中心にベアリングが入っているので、固定してあるスプリングをぶっ飛ばしてなくさないように、用心して外す。

 外れたら、ベアリング側を下にし、軽く衝撃を与えるとポロッと落ちてくる。

 新品と交換し、スプリングで固定すると完成!


 次は右側。

 キャストコントロールツマミ(通称キャスコン。ダイワ名ではメカニカルブレーキ。仕組みは同じ)を緩めて外し、ベアリングを固定しているスプリングを外す。

 B受けと同じようにすると落ちてくる。

 新品と交換し、スプリングで固定。

 オイルを注すと、はい!できあがり!!


 スプールを組み、B受けをねじ込み、キャスコンをねじ込むと完成!

 キャスコンを僅かにカタカタ音がする程度に合わせ、クラッチを切り、糸を引っ張り、スプールを回してみると…滑らかなのに、かなりヤカマシイ音がする。

 音的にはガシガシとか、シャラシャラとか、そんな感じ。

 ま、これ、セラベア特有の音なので、しょうがないっちゃけど。

 性能的には問題無いので、目を瞑ろう。




 三台目はアルファスSV。

 これはもぉ、純粋に使い過ぎ。

 魚との相性がいいリールなもんで、ついつい出番が多くなってしまうのよ。

 症状はSSと同じで、投げても巻いてもガシガシ音。

 釣具屋で見ていると、純正ベアリングの他にSLP WORKSのセラベアがあったので、せっかく交換するのなら気分を変えたいと思い、こちらを選択。


 ライトサイドプレート側は、ベアリングの径が違うだけ。SS AIRと全く同じ構造なので省略しま~す。 


 レフトサイドプレート側は、固定してあるスプリングを外し、新品のベアリングと交換し、再度スプリングを装着すると完成。


 作業時間はSSに比べるとかなり短い。

 回転音は、セラベアなので前回交換したカルコンとよく似た感じ。


 あとは、オイルを注して使うだけ!




 後に書くネタの中で、アルファスの使用感がなかなかよく、釣りに行けないときの暇つぶしとしても面白い。といった理由で、まだ全然使えるリョウガ2020のベアリングをSLP WORKSのセラベアに交換することを思いつく。


 この時点で、リョウガには既にSAWAMURAのセラベアが入っていて、飛距離、使い心地ともに良好。でも、社外品扱いになるため、オーバーホールに出せないとゆーデメリットが。

 K.T.F.としてダイワと一緒に開発しているんだから、見てくれてもいいのに!とか思いつつ、そのコトが気に食わなくて、交換することを決めたのでした。


 数日後、釣具屋に行くとリョウガ用のも置いてある。

 即、購入決定!

 は、よいのだけど、今着いているベアリング、眠らせるのはもったいない。


 同じサイズのリールって何だ?


 考える。

 ここで思いついたのが、番手の数字構成が全く同じのT3 1016 SH-TW。


 もしかして、これに使えるのでは?


 1016という番手はリョウガにも存在する。

 数字が同じということはスプールに互換性があるということ。

 自分のは2020なんだけど、多分これはスプール自体のサイズが違うのであって、ベアリングのサイズまでは変わらないのでは?と予想。

 一覧表を見てみると、同じところに名前がある。


 使えるやん!


 でも、もし万が一間違っていたら、眠らせることになっちまう。それじゃなんかイヤだから、念のため店員に聞いてみると、やっぱし使える。


 移植先が見つかった!眠らさずに済んだ!


 買って帰り、即作業。

 やり方は、T3もリョウガもベアリングのカラーが無いから、SS AIRなんかよりもさらに簡単。すべての作業終るまで30分かかってないんじゃないの?


 交換も終わり、気分は新品に!

 はやく魂込めなくては!





 しかしまぁ、最近はある程度の修理やカスタムって、パーツたくさん出ているから自分でできるし、マジでありがたい。これだとメーカー送りしなくていーから待たんでいーし、工賃も払わんでいーしでいいこと尽くし。

 工賃って思いの外、高いのよね。扱う個所によっちゃ部品代よりも高額になってしまうことフツーにあるし。ベアリング交換なんかは割と簡単な作業だし治具売ってるし、30分程度で終わるから、わざわざヒマと余計な金かけてメーカー送りなんかしたくないよね。


 今回はスプールベアリングの交換について書いたけど、それ以外にも、自分で交換できるパーツは結構あるよ。ハンドル、ハンドルノブ、スプール、ドラグワッシャー(スピニング)、リールスタンド(スピニング)なんかは、ちょっとした工具―――ドライバーや六角レンチなどが必要な場合はあるけど、簡単に交換できる。

 これらの性能に関するパーツの他に、スタードラグ、メカニカルノブ、ハンドルロックプレート、エンジンプレート(ハンドルの根元、ボディー側にある輪っか)等、様々なドレスアップパーツが純正で用意されていて、これらも簡単に交換できる。それに加え、社外品も多数存在するから、自分の好みのモノを作り上げることが可能。

 あと、預かりになるし、機種も限定されるけど、ボディの色を塗り変えるサービスや、ギヤ比を変えるサービス、ドラグ力の変更、ローターの変更なんかもメーカー公認でやってくれる。




 みなさんも、気が向いたらやってみては如何でしょーか?

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