第16話 混沌4

 今回は幸作の救出はお頭の魁が出張ることになり、下忍7人を集めている。それより先に凛を入れ片目の以蔵が茉緒と下忍2人で先行して下調べする。翌日には三輪に着いたが、すでに幸作は藤林に連れられて行ったとのことだ。都度に伝令が送られる。ここで凛は伝令となって戻る。

 藤林の館には結界が張られている。小頭が屋敷から出てきた女中を捕らえて茉緒が変装して屋敷に潜る。小頭と下忍は逃げ道を作る。

 屋敷に入ると思ったよりピリピリとした雰囲気がない。番している2人が話声がする。

「あの下忍恐ろしく口が軽いな。爪を剥がすまでに喋った」

「明日は服部に送られるわ」

 どこまでしゃべったのだろうか。幸作が知っているのは柘植の依頼だと言うことだけだ。だが服部も送られてこられても困るだろう。これ以上は危険だ。引き返すと逃げ道が出来ている。峠の上の炭焼き小屋で小頭に報告する。小頭は聞くなり2人の下忍を走らせる。

「茉緒俺と組まないか?」

 迂闊に抱きに来ない。茉緒の背中には父の刀が背負われている。片目の以蔵はどうもとんでもないことを考えている。だが抜け忍が生きていくためには抜け忍村を離れられない。もう抜けるところがないのだ。軽く頷いた。すると蛇のように口を吸うと体の中に入ってくる。

「どうする?」

「明日伝令が戻って着次第教える」

 どうも柘植にも伝令を送ったようだ。柘植にとっても幸作が運ばれてくるのは問題だ。

 





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