第14話 混沌2
小頭は繋ぎも取らず百地の国境の寺に身を潜める。茉緒が豪族の屋敷を探索する。3日3晩張り付いたがこの男は毎晩寺の稚児を訪ねて寺に潜む。表向きは妻をめとって子も3人いる。だから寺に気に入った稚児を囲っていて通っているようだ。この話をすると小頭は寺に潜んで襲撃を選んだ。
茉緒は実は年々剣のさばきが自分の力ではない速さになっているのに気付いている。それで最近は父の剣を使うようになっている。重たくはないが妙に反りがあり思う方向に剣先を曲げることができる。だが凛以外には披露したことがない。屋根裏から小頭と茉緒がもう3時間も続くあられもない絡みを見続けている。襖越しに2人の下忍が伏せている。寝てしまってから襲うと見たが小頭が合図を送った。
襖から最初の突きが入った。男は稚児を抱き上げて正面を向いた。刀は稚児を突き刺している。瞬間に枕の刀を取り上げて2人目の突きを下から切り上げる。背中に飛び降りた小頭を一睨み稚児ごと投げつけられた下忍は今度は上から切り下げる。腕は小頭より上だ。小頭は瞬間遅れたことで一振りは空を切る。
「百地の手のものか!」
次の瞬間剣先が突きだされ小頭の左目を突き刺す。ほとんど同時に茉緒は天井から飛び降りた。自分でもどういう動きをしたのか分からないが剣先が相手の喉を掻き切ったようだ。
この日から小頭は茉緒を抱こうとしない。それどころか口封じに小金の袋を握らせた。お頭には百地で襲われ2人を失ったと報告している。だがこの暗殺の後百地はここを直轄地とし服部と激しく争った。小頭はその日から左目に眼帯をして片目の以蔵と呼ばれることになる。
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