第13話 混沌1

 この時代の伊賀は忍者の束ねの豪族がひしめき合っていた。抜け忍村などはその数に入らない。だが茉緒のいた時代は服部、百地、藤林に束ねられつつあった。

 茉緒は百地に小頭と半月にもわたり商人と色女として逗留することになった。小頭は茉緒に気があり毎晩誘いをかけてくる。幸作のようにはいなせず遂に抱かれることになった。でも抱かれたと言ってもそれだけのことだと茉緒は思っている。くの一の定めでもある。だがそれで小頭は茉緒に気を許すようになっている。

「今日は百地の小頭と会う。その後お前は小頭に抱かれるんだ」

と言われて旅籠の隣の部屋で素裸で寝かされる。抜け忍の小頭は柘植の使者として百地と交渉している。

「手を結ぶのはいいが柘植の動きがいまだ納得できない。柘植の手のものとして服部の金庫番を襲ったのは承知している。だが我が百地の間者はあの指示は服部宗家が柘植に依頼したと聞く。宗家が資金を手にしたかったのだそうだな?」

 茉緒は驚いて耳を澄ませる。

「柘植の宿命なのですよ」

「なら国境の豪族を消すのだ」

「それは百地の?」

「確かに身内だが服部と通じている。それにお前も柘植の抜け忍じゃないか。応分の手当ては出す」

 しばらくして話が途絶えて襖が開いて男の体が潜り込んでくる。茉緒は恥ずかしそうに身を曲げて尺八をしながら男を後ろの穴に引き込む。間断なく締め付けるとまず持たない。

 小頭はお頭の魁とは違うことを考えているようだ。屋根裏にいる2人の下忍はすでに小頭の腹心だろう。そして茉緒も腹心と考えているのだろうか。この後必ず小頭が求めてくる。


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