第10話 夢の芽10
待ち合わせの旅籠に予定通り到着した。今回は小頭中心に5人が思い思いの格好で旅籠に入った。すでに幸作は女中の一人を抱き込み服部の一豪族の別宅に手引きする。ここは女を囲っていると言う。服部の金庫番も兼ねているこの男は女好きで有名だ。女衒に化けた小頭に連れられ茉緒が綺麗な着物に着替えて建物の中に入っていく。すでに2人の忍者は屋根裏にいる。
さすがに商談では3人の家来が取り囲んでいて隙はない。小頭が目で合図する。寝間で殺せと言うことだ。部屋に入ると急に初老の男の顔がゆるんでくる。ほの明るい光の中で茉緒は全裸になる。この効果を読みこみ済みだ。男は無防備に着物を脱いで裸になる。茉緒はお祖母ちゃんに言われて玉も竿も押し込んで隠すことを覚えている。だから凛とするときは根元を布で縛る。
男のものを後ろの穴に引き込み抱きしめる。茉緒に抱きしめられると大概の男は気を失う。だがさすがに忍者だ。涎を流しながらも意識はある。すばやく髪に隠していた短刀で脇腹をえぐる。さすがに血の気が引く。この短刀は小頭から渡されていたもので藤林の印がある。
天上の忍者が下りてきて襖の向こうの侍を串刺しにする。廊下でも乱闘する小頭が見える。同時に幸作が忍び装束を投げてくる。
それから無意識に走り続けている。
これは柘植の依頼だ。服部と藤林をぶつけて柘植は何を考えているのだろうか。藤林の謎はどこかで茉緒と繋がっている。
「幸作がね姉さんの裸のこと言ってるよ」
凛が布団に潜った来て抱きついてくる。
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