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「葉っぱを、よく見ると、ハートの形になっているんです。蔓に沢山ハートの葉っぱがなりますから、ミリオンハートと言う名前なんです」
「そうなんですね」
「はい。育てやすく、多肉植物で見た目にも可愛いので、こういうハンギングプランターにピッタリなんです」
さっきまでタドタドしかった口調がスラスラと饒舌になる。男性はそれに気づいていないようだ。
「物知りなんですね」
「あ、いえ、その、家で少し、育てているから、ちょっとだけそういうのを、勉強しているというか」
またぎゅっとバッグを抱いた男性は小さく呟いた。
「男なのに、気持ち、悪いでしょう?」
すみません、とそう言って頭を下げる。細身で背が高いからか、その姿は今にも折れてしまいそうに見えた。
「いいえ、とんでもない」
「・・・え」
「とても素敵ですよ」
「そ、そんなこと」
「そんなことあります。とってもあります。男だから植物を好きなのは変だなんて、そんなこと全くありません。だって私の知らなかったミリオンハートのことを、貴方は教えてくれたでしょう? それってとても素敵な事だと思うんです。それに、植物を愛することのできる方は、とても心優しい方だと思います。私も含めてね」
ふふふ、と微笑んでみせると男性は困ったように小さく微笑んだ。それはまるでミリオンハートの小さな小さな白い花のように。
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