第12話 検索をする
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憂さを晴らすべく、昨夜のオッパイパブのことを思い出し、ペニスを奮い起こし、そして鎮めてやる。充実感。そんなわけはないのだろうが、少しアルコールも抜けたような気がする。
枕元の携帯電話をとり、時間を見ると昼の一時すぎ。美原の母からメールが入っている。昨日の報告を求めているので、俺自身のパブの感想文と、店の看板と美原の後ろ姿の画像を貼付けて送信した。
美原の母には悪いが、しばらく竜宮城にとどまりたい気分も高まっていた。なにしろゲーム機しかない俺の部屋に比べて、若い女の子がローテーションする素敵すぎる場所だった。
が、やはり任務にこたえなければという気持ちもまた強い。以前の俺はなにもしなくてよかった無色透明の存在だったが、今の俺は少なくとも『オッパイパブにハマった友人の救世主』というカタチをあたえられている。大袈裟ではあるが、それが今現在の俺の『生きる意味』に直結しているのかもしれない。
俺はパソコンを起動させた。敵を知り、己を知れば百戦危うからず。美原を虜にしたオッパブ嬢のことを少しでも知っておこう。店の名前で検索すると、すぐに『ぱふぱふ』のホームページが出てきた。先に進もうとすると、十八才以上ですか? と警告文が出たので、YESをクリックして先に進む。素直にNOをクリックして退室する中高生はどのくらいいるのだろうか? コンビニでエロ雑誌を立ち読みできない時代にはなったが、みんなネットでエロ画像を好き勝手に入手しているんだろう。
トップページからキャストをクリックして女の子の情報を確認する。顔を出している子が六人ほど、手のひらで顔を隠して映っている子が十人ほど。どの写真もふんだんに光を当てて、キラキラ感を演出している。それにしても、目元こってりのギャルっぽい女の子ばかり。素のままでも充分に顔立ちが派手な子もたくさんいるだろうに、なぜ同じベクトルにいくのだろう? いや、いかにもキャバ嬢といった外見は別に嫌いじゃない。むしろ好きなんだけれども。こうも系統的に似通ったのが多いと、食傷気味になる。なんというか、大トロの皿ばかり流れてくる回転寿司のような、そんな感じ。
で、美原が恋している女の子、やつは『ユウナ』と言っていたが、探してみるも画像はなかった。ホームページに顔をさらしているような子はきっと野心のある子なんだろう。写真を見た男が指名することもあるから倍率も高いし、親バレ、彼バレのリスクをものともしないプロフェッショナルだろう。プロフェッショナルが相手だと、美原みたいな恋愛経験値の低い男はズルズルと搾り取られていくに違いないので『ユウナ』とやらが顔を出していないことに安心した。
画像はなくてもプロフィールだけ載せている子が五人ほどいた。その中にユウナの名があったのでクリックする。
ユウナ 身長149センチ 23才 牡牛座 A型 出勤日、木〜土 性格:明るくてバカっぽい 好きな男性のタイプ:草食系男子
出勤日の少なさから、おそらく彼女は昼間に本職があると俺は推測した。たとえ昼の仕事がなくても、オッパイパブ嬢としてのプロ意識は少なく、素人くさい子なんじゃないだろうか。その場合、美原をあおって告白するようにしむければ、わかりやすい展開になる。告白を受け入れてもらえれば、美原は店に行かなくなるだろう。美原がふられた場合も店には行きづらくなる。いずれにせよ、美原のパブ通いをやめさせるという俺のミッションは成功だ。
いや、待て? ユウナ嬢が木、金、土しか働いていないというのに、美原のオッパイパブ通いのペースはなんだ? 野郎、なにが恋だ。めちゃくちゃ浮気しとるやんけ。
美原の歪んだ性欲を見くびっていた。ユウナにふられでもしたら、よりいっそうパブ通いのペースが上がるかもしれないな。少し難易度が高いが、美原の恋を応援するしかなさそうだ。
勝算はある。好きな男性が草食系男子というのがポイントだ。草食系とオタクはかぶる部分がある。美原がヤンキー性をうまく封印し、オタク性を洗練されたかたちで匂わせれば、この恋、勝機を見出せるかもしれない。
あとは実際に彼女がどんな娘かこの目で確かめよう。好奇心でも性欲でもなく、あくまで任務だ。美原にふさわしい相手か、オッパイを吸って確かめてやるぜ!
幸い、今日は金曜日。明日でもかまわない。いちおう店に電話をして、出勤確認をしたら店に出向くとしよう……。
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