第5話

「えーと、デスネ。林檎が含む霊力を食べるんデス」

 自然と首を垂れる死神と、それを高慢に見下ろす殺し屋。

「はぁ?霊力ぅ?」

「はぁ。そんな反応だと思ってマシタよ。腹が立つナ。まぁ、説明すると」

 モノには原則的に霊力があるらしい。それが生命の根源の一つであって、殺し屋の感じる気配などがこれに相当する。その霊力を補えうことさえできれば、死神は万々歳らしい。

「つまり、モノは食わないのか」

「イズザクリー(その通り)」

 死神の黒いマントの先に、見えないはずの床が透けてみえた。

 殺し屋は、死神が嫌いだ。

 冷たい夜風。殺し屋に聞こえない死神のノイローゼ。魂を刈り取る死の風が吹きぬけた。

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