第4話
「三か月前の仕事の時、私がいなかったら、死んでたでショ?!」
「お前がいなけりゃ、死にかけもしなかったわ!!」
夜の静寂。フクロウが鳴く。時計塔の窓から、月がこちらを覗きこむ。
「だって、私、死神だし、サ」
三日月が笑った。
「ホント、消えろ」
色気のある林檎は殺し屋の手の中。
「お前に渡さない。俺の林檎だな」
台所で殺し屋は林檎を洗う。透明な水を通して林檎の赤さが歪む。
「そういや、お前どうやって林檎を食うんだ?」
背中越しで殺し屋は死神に聞いた。死神は部屋の真ん中でウロウロしていた。
「聞いちゃう?聞いちゃうノ?マジ、聞いちゃウ?」
「殴る」
堅くて乾いたものを叩いた音が響く。死神が床に倒れこむ。
どうやら死神にも痛覚はあったようだった。眼球の穴から、涙が少しにじみ出てた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます