第6話

「なァ、消えるなら。……は、厭なんダヨ」

 ランプの明かりが少し、揺らめく。部屋を照らし続ける。

 死神が大鎌を殺し屋に向ける。水道の水は、その間も林檎を濡らし続けた。

 両腕を上げ、殺し屋はあっけなく降参した。

「……わーかったよ。林檎のレイリョクぐらい食わせてやるよ」

 殺し屋は死神が嫌いだ。消えても振り払えないから、なおさら。

「お前……ホントに殺し屋か……?イイ奴だナ! 殺し屋を辞めて、農業しようゼ!!」

「しねーよ」

 殺し屋は立ち上がり、水道の水を止めて、冷たく濡れた林檎をタオルで拭いた。

 それを死神が掴んだら、少し不透明な赤い林檎が林檎から生まれた。

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