3:No music, No life, No death!

 メキシコと言えば言わずと知れたマリアッチ。彼らはまるでミュージカル映画のように、メキシコの暮らしのあらゆる場面で颯爽と現れ、葬式であろうとも賑やかな音楽で場を盛り上げてくれる、現地ではなくてはならない存在です。もともと歌い手だったイメルダが全ての音楽をシャットアウトするのは相当な覚悟であったに違いありません。

その鬱屈を晴らすかのように、ミゲル少年はギター一本で死者の国を渡り歩くわけですが、ディズニー映画でここまで「音楽の力」を前面に出した作品はないでしょう。

唐突に始まるミュージカルではなく、全てミゲルたちが(物語上)実際に演奏している(ということになっている)ので、聴衆に演奏者の思いが伝わる素晴らしさを表しています。

世代も時代も、生死すらも、歌はボーダーを超えて想いを伝えるものなのだと、そういう願いが込められているのです。

感涙必須のラストシーンはまさしくその結実であり、半世紀の時を超えてヘクターの願いがココに届けられた瞬間でした。

(だからこそ、デラクルスが歌からヘクターを《消し去った》ことは重い罪であると言えるでしょう)

「音楽はいつまでも」は今を生きるミゲルが、先祖の思い出を歌い継ぐ音楽家になる決意を宣言する歌です。「リメンバー・ミー」に対する生者からのレクイエムであり、エンディングとセットで聴くと、これまた感慨深いものがあります。

ヘクターだけでなく、過去に幾多の《忘れられた》音楽家がいたことでしょう。けれど、その曲に込められた思いは、再び演奏されればきっと誰かに届くに違いない。そんな風に思います。

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