おでかけ

蒼井裕香

おでかけ

1月14日。晴れときどき曇り。


冬真っただ中のこの時世、最近ではめずらしく降水・降雪確率0%のあたたかい日だ。(と言っても最高気温は0℃なのだが。)


正月にバイトお頑張ったおかげで普段より些か裕福な暮らしができている。

つかの間の幸せをつかの間の内に味わっておくことにしよう。


はじめに記した通り、めずらしくおでかけ日和だ。出かけないわけがない。

(布団の中にいるというのもまた魅力的ではあるが。)


早速出先へと想い巡らせる。ケーキ、と紅茶をいただきたい…


「あ。」


そういえば一昨年のこの季節、中村さんに教えてもらったケーキ屋さんがあったな。どこだったか。


iPhoneのメモを遡ること2スクロール。あった。



『栗の木テラス』



「ここだ!」


思い立ったが吉日、すぐに電車を調べた。

『13:09-13:40 Z駅』


これでいこう。

またもや最近ではめずらしく、髪をキレイに巻いてスプレーでセット。

化粧もしっかり(ナチュラルを心がけた)、普段は楽器の都合上つけられない口紅を乗せて。まつげまで巻いてしまった。

わたしにしてはとても気合の入ったセットにイヤリングともらったネックレス、それから時計とストーンブレスを身にまとい、喜々として家に鍵をかけた。出発だ。


電車内は相変わらず、大糸線のようにわたしの目を引く景色は特に現われなかったが、昨年の夏以来だ。さかさの季節の同じ景色を片隅に、借りた本「先生はえらい」を読み到着を待った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

おでかけ 蒼井裕香 @SaKuBoU_5221

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ