第二十三話:集結

「…ギルドからの、…手紙」


ミラが封書を手渡す。


手紙というよりは殴り書きの字で非常に読みにくい。


ただ、状況は伝わってくる。


「なんだい、ラト宛とは珍しいね」


クレイが物珍しげに身体を乗り出してくる。


呑気なもんだ。


とは言え、顔に表情が出ないので何を考えているのか正直判別がつかない。


『街に危機が迫っている、冒険者よ、集結せよ』


端的にそう綴られていた。差出人は不明か。


「ギルドからだって?」


ミラに問う。


コクッ。


そうだと頷く。


なぜギルドがこれを俺に。


危機とは何か。集結せよとはどこに。


とりあえず、ギルドに向かうべきことは分かったが。


「ノラ街の冒険者を、集めてるみたい」


ミラが付け加える。


「…私にも、届いてる」


ポケットから恐る恐る同じような手紙を取り出す。


ということは、この封書が届いているのは俺だけではないだろう。ジェイや他の冒険者にも既に届けられている。


一体何が起きているのか。


面倒臭い。


だが、行かねばならないだろう。


錆び付いた剣に手を当てる。


「私も、一緒に行く」


拒みはしなかった。


意外とも思わなかった。


カラン、カランッ。


乾いたベルの音が店内に鳴り響いていた。

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