第十六話:気持ちの変化

「双方、攻撃止め!!」


ジェイの合図で空気が一瞬静まる。


まだ剣を握る手に余韻が残るが、状況を理解したのか、吐く息が聞こえる。


気を抜けば膝から地面にずり落ちそうになる。


ハアッハアッ。


息が詰まりそうだ。


垂れた首を起こし、前方を見れば、同じようにぐったりしている連中がいる。


中々にハードワークか。


単体で相手にするのとは別な意味で難しさがある。


普段仲間と連携を取らない俺にとっては、攻撃が被らないようにするなど要らない気を使ったと思う。


「面白いものを見せてもらったよ」


ジェイが手を振りながら近づいてくる。


苦々しいが、確かに収穫はあった。


思わず視線がミラを追う。


俺は何かを期待しているのか。


黒い影が記憶を覆う。


目を細める。


単体でやることにはもう慣れた。


単純に慣れたというよりはそうあるべきだという無意識の義務感かもしれない。


孤独とは違う。


俺自身が孤独だと自覚したことは無い。


鈍感なところもあるが、一人でいることに大した意味は無い。


意味は無いんだと思う。

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